3月10日に北海道コンサドーレ札幌の明治安田J1リーグ2024シーズン・ホーム開幕戦(対浦和レッズ)が開催される札幌ドーム。プロ野球・北海道日本ハムファイターズがエスコンフィールド北海道(北広島市)へ移転したことに伴い、年間3億円規模の赤字が見込まれている。命名権(ネーミングライツ)の募集期間延長も発表されたこともあり、ドーム維持を目的とした税金投入に批判の声が挙がる中、日本スポーツ界の関係者が「札幌ドーム解体論」に異議を唱えた。
札幌市と道内財界各社が第三セクター方式で出資する『株式会社札幌ドーム』は赤字補填を目的に、今年1月9日から2度目となる命名権の公募を実施。しかし年間2億5000万円以上で2~4年間という条件を嫌ったのか、公募期限の2月29日17時までに正式な申し込みがなかったとして、期限を延長している。
株式会社札幌ドームや札幌市の対応には、以前からネット上で「札幌市が日本ハムを大切にしていたら、こんなことにはなっていなかった」「市の怠慢が招いた結果」「秋元市長は責任を取るべき」といった批判の声が。年間3億円にものぼる赤字計上が見込まれるだけに「ドーム解体した方が良い」「ドーム維持に血税投入するな」という意見も湧き起こっている。
そんな中、X(旧ツイッター)では『株式会社ミッションスポーツ』の満田哲彦CEO(最高経営責任者)による投稿内容が話題に。元電通本社スポーツ局オリパラ室営推部長の満田氏は「ちょっと冷静な議論をした方がいいと思うけど」と切り出すと、「取り壊せって、議論があるようだけど、世界中、あの規模のスタジアムで、3億円の赤字って、悪くない数字では」と年間の赤字額に言及。
「おそらく、札幌ドームでの、コンサドーレの試合、コンサート、ラグビーなどのスポーツイベント、大会などにより、札幌以外からの来札者の、宿泊、飲食、購買・買い物・お土産での札幌市内での売上と税収は、かなりの金額では」と主張すると、「日本ハムは去ったけど、サッカーや音楽イベント、他のスポーツイベント、市民イベント、就活イベントなどでの、市民へのプライドや健康増進効果、社会的価値も加えてあるのでは」と持論を展開する。
そして3億円という赤字額の比較対象として、札幌市内にある図書館を維持するための予算に言及。「札幌の図書館が、年間予算10億円近く。これを、赤字と言ったら、赤字になる。でも、図書館は絶対にあるべき。いろんな意味、効用もある。同じように、札幌ドームにもさまざまな意味も意義もある」と持論を述べる。
さらに満田氏は「世界中のスタジアムって、スタジアムそのものは、自治体が所有し(欧州のビッグクラブや米国の一部は除く)、(おそらく)赤字だと思う。でも、そのスタジアムがあることにより、域外から訪れ、ホテル税などの収益(ダラスのスポーツコミッションでも話を聞き、リサーチしてきました)、経済効果(この言葉自体はあまり好きではないですが。結構大きい主語で)がある」
「ましてや、札幌には、室内型の大箱は、札幌ドーム。これを1から創るのは大変。せっかくある上に、3億円ぐらいの赤字は、ホテル税、飲食での税金で回収してるのでは?さらに、コンサドーレなどの札幌市民へのプライドや高揚感の効果は計り知れない(いや本当は測れる)のでは」と、命名権販売以外の方法で赤字回収が可能だと主張。
広告代理店関係者やスポーツマーケティング関係者に対して「上から目線で匿名で、ドームをディスってる。お前ら企画考えろよ、と思う。評論家体質が、税金を無駄にしてる」と憤りを見せた。
3月はじめのオープン戦をのぞき、プロ野球公式戦開催がほぼ消滅した札幌ドーム。減収対策として10億円を投入して2万人規模のコンサート開催が可能な「新モード」を導入したものの、現時点では不発。日本ハムに引き留めに失敗し、収益確保の見通しが甘いと言えるだけに、秋元克広札幌市長の責任を問う声が多いことは確かだ。