かもめ荘は、かつて島根県出雲市の大山隠岐国立公園の地域内にあった巨大な廃墟である。県内でも最恐クラスの心霊スポットとして全国的にも名を轟かせていたが、2021年に解体されたため現在は跡地のみが残ることとなった。
1970年、身体障碍者のリハビリなどを行なう保養施設として開業したというかもめ荘は、その後宿泊施設としても用いられ、日本海を見下ろせる絶景スポットであったことから、いっときは観光団体が多数訪れるなど盛況であったという。だが、次第に客足が遠退いていった末に70年代後半には休業状態となり、以後再び利用されることなく廃墟として残されてしまった。
日本海をのぞむ絶景の中にコンクリートの塊が顔をのぞかせていることから景観を損なう、また心霊スポットと持て囃され始めたことで無断侵入者が後を絶たず、周辺住民にとっては「負の遺産」として40年以上に渡り頭を悩ませた存在であった。
さて、かもめ荘は各地の心霊スポットと称される場所の多くがそうであるように、テレビなどを通じて紹介されたことでそのイメージが定着していった。数多く囁かれていたかもめ荘の心霊現象の中でも特徴的な心霊現象は、訪れると体調を崩すというものであり、特に「地下室」と「開かずの間」は軽々しく近づいてはいけない場所として知られていた。
地下室には、用途不明の謎の機械が置かれていたと言われており、これによってかもめ荘の地下室で人体実験が行なわれていたのではないかという噂が強く広がっていった。そして、地下室以上に危険であると言われていたのがそのさらに奥にある開かずの間と呼ばれる場所であり、重厚でびくともしないような扉から、かつては精神障碍者の隔離部屋だったのではないかという憶測や、果ては近年においては北朝鮮の工作員が隠れ家として用いていたのではないかという説まで囁かれた。
なお、開かずの間については2010年以降になって「開いている」「入れた」といった報告が多くなされた。開かなかったのは蝶番などがひどく錆びていたためであり、そしてその内部の構造から冷蔵室だったのではないかと言われている。
そんなかもめ荘が、島根県でも最恐クラスの心霊スポットと称された最大の理由は、昭和を代表する霊能力者宜保愛子の存在だ。
テレビ番組にて数多ある心霊スポットに足を運び霊視をしていたことが印象的な宜保愛子であるが、このかもめ荘を訪れた際にはあまりにも霊が多いため除霊しきれないと退散し、その1ヶ月後に亡くなってしまったという話が広がった。心霊スポットを訪れたがために霊能力者が命を落としたというこの噂は、かもめ荘を最も危険な心霊スポットとするに申し分ないエピソードとなったと言えるだろう。
だが、2003年5月に亡くなった宜保愛子の死因は胃がんであると公表されており、また彼女の著書『死ぬ瞬間から輪廻転生』の記述から、すでに2002年時点でがん告知を受けていることがわかるため、かもめ荘が原因で亡くなったというのはタイミングがよく重なってしまった可能性は否めない。
また、「宜保愛子が逃げ出した」心霊スポットと称される場所は全国各地に存在している。それらの多くは、「某心霊番組で」という触れ込みはつくものの具体的な番組が確認できないことが多い。その心霊スポットの恐ろしさを強調させるために「宜保愛子も恐れた」という枕詞が生まれ、その一つにこのかもめ荘があったのではないかとも考えられるだろう。いずれにせよ、今後跡地がどのように活用されていくのか温かく見守っていきたい。
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
提供元・TOCANA
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?