今、南アフリカの海に恐怖の渦が蔓延し始めています。

地元当局はこのほど、南ア・ケープタウンの海辺で、凶暴化したオットセイが次々と海水浴客を襲撃する事故が多発していると報告しました。

オットセイを安楽死させて解剖した結果、それらの個体に「狂犬病」の陽性反応が確認されたのです。

現時点で少なくとも11頭のオットセイが狂犬病と判明しており、これは海洋哺乳類で初めての大規模感染だといいます。

 

目次

  • 人懐こいはずのオットセイが凶暴化
  • 海獣たちは「狂犬病」に感染していた!

人懐こいはずのオットセイが凶暴化

南ア・ケープタウンはサーファーや海水浴客で賑わう場所です。

その一方で、ケープタウンはホオジロザメのホットスポットでもあり、サーファーたちは波に黒い影を見ると、最悪の事態を想定しないわけにはいきません。

しかしそれが「ミナミアフリカオットセイ(学名:Arctocephalus pusillus)」だとわかると、緊張は解け、恐怖は安堵に変わります。

ミナミアフリカオットセイはアフリカ大陸南部に生息する海洋哺乳類です。

野生でも非常に人馴れしており、遊び好きで、海水浴客とよく交流する姿が見られていました。

サーファーたちは彼らと鼻先を近づけあって、一緒に泳ぐこともあるといいます。

ミナミアフリカオットセイ
ミナミアフリカオットセイ / Credit: ja.wikipedia

ところが数年ほど前から、オットセイたちの行動に異変が見られるようになりました。

人好きだったはずのオットセイの中に海水浴客を襲撃する個体が現れ始めたのです。

地元当局はオットセイによる襲撃事故が2021年後半から著しく増加していることに気づきました。

昨年には、オットセイの子供が浜辺で遊ぶ海水浴客を次々と襲い、大人たちが追い払っても執拗に人を噛み続ける異常事態が発生しています。

そのときの実際の映像が残っていました。こちらです。

(※ イヤホンを推奨します。音量にご注意ください)

さらに今年に入ると、1頭のオットセイがものの数分のうちに3人のサーファーに次々と噛みつく事故も発生しました。

そのうちの1人は「オットセイが背中に乗り上げて、ウェットスーツごと噛み破いた」と話、「その後もサーフボードに食らいついてきて、何とか追い払ったものの、ずっと私の方を追いかけてきた」と振り返っています。

またオットセイ同士も襲い合っているようで、同じ頃に海岸付近で、顔に大きな傷と出血を負ったオットセイが目撃されていました。

地元当局は「こんな事態はいまだかつてなかった」と述べています。

オットセイたちに一体何が起こったのか、当局は調査を開始しました。