昨今ドローンの普及に伴い、基地や飛行禁止区域にドローンが無許可で侵入する事件が世界で多発している。

今年3月、神奈川県の海上自衛隊横須賀基地に停泊中の護衛艦「いずも」を上空からドローンで撮影した思われる映像が中国のSNSに投稿された。小型無人機等飛行禁止法でドローンの飛行を規制しているだけでなく、警備態勢を敷いている自衛隊施設周辺で発生したこの事案は、国内で大きな波紋を呼んだ。

7月には、モンゴルの観光地で行われた馬術ショーの会場付近で、観光客が無許可で操縦するドローンが飛行し、ショーが一時中断されるという事例もあった。

世界で違法ドローンに対する警備体制の強化が求められるなか、ドイツのAaronia AGは6月末に行われた「F1 カタール航空オーストリア グランプリ 2024」(以下、同イベント)にて、自社のドローン検知システムを提供した。

ドローン検知システム「AARTOS DDS」

Image Credits:AARTOS DDS

ドイツのシュトリックシャイトに本社を置くAaronia AGは2003年の創業以来、測定、追跡、監視ソリューションを展開している。

同イベントで使用されたAaronia AGの「AARTOS DDS」はドローンと操縦者、両方の位置をリアルタイムで把握できるドローン検知システム。

同社独自のソフトウェアソリューション「RTSA-Suite PRO」がその中心的な役割を担っており、ほぼすべての市販ドローンを識別し、必要に応じて制御し、安全に着陸させることが可能だ。

取得したデータは、モバイルアプリを介して認可されたセキュリティ当局と共有。当局は常にリアルタイムでドローンと操縦者の現在位置を把握し、それに応じて行動できる。

既存のセキュリティアーキテクチャにシームレスに統合できるのもポイントだ。

建物、木、人などの障害物に関係なく追跡可能

AARTOS DDSは異なる周波数を同時にスキャンし、無線信号で動作するすべてのドローンを検知する。たとえドローンと操縦者が異なる周波数または帯域で動作している場合でも、操縦者の動きを追跡する。なおRF信号(無線周波数)に依存している性質上、建物、木、人などの障害物に関係なく追跡可能だ。

またAARTOS DDSはドローンの位置と速度だけでなく、高度も把握できる。システムには無制限の数のセンサーを装備して、より広いエリアをカバーするネットワークを形成しているため、高度や標高に関する制限はないという。