もう1つは私自身の存在が全体を引き締めるのです。私どもの事業の多くは現場作業が多いので在宅勤務が難しいものばかり。その中で社長だけ在宅勤務ってずるくない?になるわけです。それ以上に「俺もいるぞ、皆も頑張ろう」というメッセージは必要です。マリーナ事業の現場マネージャーはこの時期なら繁忙期なので多い日には5-6回電話をかけてきますが、私が事務所にいるからこそ、気軽に電話できるのです。日本にいると分かっている時は一度もかけてこないですが、その代わりいろいろうまく廻らないこともしばしば起きるわけです。

日本の場合、オフィスワークが復権していると思います。私が思う大きな理由は2つ。1つは日本の家は狭いのです。在宅勤務にはふさわしい環境があるのか、です。例えば独り者ならいいですが、家族持ちで小さい子供もいるとなればとても集中して仕事をできる状況になりにくいでしょう。2つ目は日本の仕事の仕方はチームワーク主体である点です。北米は一人ずつに明白なジョブディスクリプションと権限と責任が与えられます。それを達成できるかは一人ずつのモチベーションが主体になります。ところが日本はチームへの仕事のアサインメントになります。例えば〇〇係長のチームでこの案件に取り掛かってほしい、という仕事の振り分けです。その為に在宅ではやりにくいのです。

最近はオンライン勤務でもさぼっていればわかるソフトウェアがいろいろ出ているのですが、逆に管理の目がオフィスワークより厳しい感じがするのです。まるで監視されている囚人のようなもの。それでもオンライン勤務を選ぶのか、といえば少なくとも私は適合できないのです。

在宅勤務が進んだとされる北米でも一定の揺り戻しはあるでしょう。ただ、上述のように仕事のアサインの仕方が日本とかなり違うので一定の在宅勤務は今後もあると思いますが、そうなればシェアオフィスの存在がいかにも中途半端になり、ある程度の需要はあるものの今の供給過多の状態は修正されていくのだろうと思います。

事業というのは3年とか5年で時代のトレンドが変わるので本当に難しい世の中になったと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年7月18日の記事より転載させていただきました。