他の刑事訴訟の「今と今後」

Trump trials tracker: Election interference case in limbo, classified documents dismissed

1.「J6」事件(スミス特別検察官がワシントンDCで、議事堂襲撃に関連して昨年8月に提訴) 7月1日に最高裁が下した「大統領は『公務』に対する免責特権を有する」との判断により、下級審に差し戻された。下級審のチュトカン判事は訴因のどれが「公務」「推定公務」「公務外」に当るかを審理せねばならず、長引くことが予想される。今回のフロリダ地裁の判断がどう影響するかも注目される。

2. ジョージア州選挙介入事件 トランプ弁護団は事件からウィリス地方検事を外すべく法廷闘争を繰り広げており、展開次第では事件を頓挫させる可能性がある。6月初めに控訴裁判所はウィリスへの異議申し立てが解決するまで裁判手続きを一時停止した。10月に口頭弁論が予定されている。

3. ニューヨーク口止め料事件 陪審は5月、トランプに対し34件の重罪すべてで有罪の評決を下した。トランプ弁護団は控訴するとみられるが、控訴手続きは11月の選挙までに終わらない可能性がある。

銃撃を受けてメラニア夫人は「仲直り(reunite)」を呼び掛け、トランプも団結に向けて18日の指名受諾演説を書き直した。が、次の4年を考えると筆者には不安が残る。それはJDヴァンスを副大統領に選んだことだ。ヴァンスはまだ若く、その主張もミニトランプさながら。果たしてメラニア路線に向くVPなのだろうか。

11月5日に向けて、討論会でのバイデンの失態(6/27)、大統領免責に係る最高裁判決(7/1)、銃撃からの生還(7/14)、そして本稿の機密文書訴訟棄却と、トランプには追い風が続いた。ヴァンス選択の理由にした「ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、オハイオ、ミネソタ、そして更に遠くのアメリカの労働者と農民」の票よりは「団結」を優先すべきではなかろうか。