「そのおばちゃんは、もともと、小さいときから曜息で、それを治すために食事に興味をもったとのこと。また、ご主人が前立腺がんを患い、食事を見直そうとして、腸のはたらきを活発にする、沖縄の薬草や果物を使ったスムージーにいきついたそうです。この薬草スムージーは高血圧、糖尿病、リウマチから大腸がん、肺がんなどの病気の人も飲んでいます」(大場さん)
「『人間の体のなかで、腸が一番大事なのよ』-そのとき私は、医学についてまったくの素人のおばちゃんから、がんを治すための方法を教えてもらったのです。スムージーとの出会いを経て、私は『がんと腸』の研究を進めることとなりました」(同)
大場さんは、がんと腸の関係を研究し続け、その研究の集大成が本書になります。さらに、「がんになった人の約9割は便秘である」と考えていると言います。
「事実、患者さんにスムージーを勧めてみたところ、便秘が治り、がんが再発しにくくなりました。そのとき私は、がんと腸の密接な関係を目の当たりにしたのです。もともと私たちの体は、がんなどの異常な細胞に対し、免疫機能が働き、それらを排除しようとします。腸には、その免疫細胞やグロブリンと呼ばれるタンパクが、最も多く存在しています」(大場さん)
便秘のメカニズム「最近の研究では、腸の調子が悪くなると、免疫力が低下するメカニズムが次々に解明されています。つまり、腸内環境を整えて便秘を改善すれば、がんも治る可能性があるのです」(同)
いま、多くの日本人が便秘で悩んでいます。女性の場合、5割を超える人が便秘というデータもあります。便秘の原因を知るためには、まず仕組みを理解しなければいけません。
私たちが口から取り入れた食べ物は、筋肉の収縮と弛緩による「ぜん動運動」によって胃に運ばれて消化されます。その後、小腸で栄養が吸収され、大腸でもミネラルや水分が吸収されて、ゆっくりと便が形成されますが、ここで留まってしまうことを便秘と言います。
便秘の原因とは何でしょうか――。
「大きく4つの要因に集約することができます。『繊雑不足』『水分不足』『運動不足』『ストレス』です。これらは、腸内環境を悪化させる原因であり、ひいては免疫力を低下させる』『がんの原因』と言い換えてもいいでしょう。もともと私たちの体には、誰にでも「自然治癒力」という、病気を治す奇跡のような力が備わっています」(大場さん)
「その自然治癒力を最大限にいかすには、『身体に入ってくるもの』と『出ていくもの』のバランス、そしてストレスのバランスをうまくとらなければなりません。濁った池の水を、清く澄んだ水に変えるには、きれいな水を入れる前に、濁った水を排出する必要があります」(同)
大場さんは、濁った水を排出し、きれいな水を入れていくことが、便秘の改善であり、究極のがん治療だと主張します。自然治癒力を活かしたがん予防の正しい知識を身につけたい人には絶好の一冊といえるでしょう。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
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