東京ディズニーリゾート(株式会社オリエンタルランド 以下ディズニー)がクルーズ事業に参入する。総投資額は3,300億円。2025年度から造船を開始し、28年度の就航を目指す。価格帯は10万~30万円、首都圏の港を発着する2泊~4泊の短期航路を中心とする。

需要面は問題ないだろう。クルーズ市場は成長傾向であり、盤石なディズニーファンも存在するからだ。

歓喜するファン・広がるクルーズ市場

特に、米ディズニーが運営するクルーズツアー「ディズニー・クルーズ・ライン」に手が届かなかったファンたちの喜びは大きい。

「日本でディズニークルーズに乗れるなんて夢のよう」 「まさか日本で体験できる日が来るとは」 「日本でやってほしいと思っていたので大歓迎」

発表後、歓喜のコメントが、公式YouTubeチャンネルに殺到した(※)。4泊で30万円という価格は、彼ら(彼女ら)にとって高くない――いや、リーズナブルでさえあるらしい。「妥当なライン」「想像より安い」といった意見が散見される。

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クルーズに参加するのはディズニーファンだけではない。

「ファミリーエンターテイメントクルーズ」。ディズニーは、クルーズをこう表現する。園内を歩かなければならないディズニーリゾートと異なり、船内でくつろげるクルーズは高齢者も楽しめる。親子だけではなく、祖父や祖母を含むファミリー3世代でも参加できるのだ。

クルーズ市場も成長基調にある。23年の世界のクルーズ旅客数は、19年の「6.8%増」の3,170万人。コロナ禍から完全に回復しており、27年には「33.7%増」の4,000万人に達するという予測もある。新クルーズ船が予定通り28年に就航できれば、市場成長の利益を享受できる可能性がある。

ファンやファミリーそしてクルーズ旅行者など、増大する需要に合わせ建造されるクルーズ船は国内最大級だ。

総トン数14万トン、乗客定員数4,000人、客室数1,250室。大きさは「ダイヤモンド・プリンセス」のおよそ1.2倍。ディズニーはこの巨大クルーズ船で、年間乗客数40万人を目指す。

さて、この目標は達成できるのだろうか? 人材面に不安がある。

ディズニークルーズ船は「ダイヤモンド・プリンセス」より一回り大きい (クルーズを取り巻く状況 令和6年5月20日 国土交通省より)