日本において勾玉(まがたま)といえば、八咫鏡(やたのかがみ)・天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)と共に三種の神器と呼ばれる八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)が思い起こされるだろう。勾玉が古来より日本で装身具として文化的にも歴史的にも強く関わってきたことは間違いない。

 勾玉は、水晶や琥珀などの素材を削って作られている。古くは縄文時代の遺跡からも発掘されているが、現在我々が想像するような曲がりくねったあの形状は、弥生時代ごろに成立したと考えられている。そんな勾玉の中には、「オーパーツではないか?」と言われているものも存在しており、それが翡翠で作られた勾玉いわゆる「翡翠の勾玉」と呼ばれるものである。

 この翡翠の勾玉が、なぜオーパーツと言われているかというと、勾玉そのものではなくそれに開けられた穴だ。この穴は、紐を通すために開けられたものと考えられているが、その穴がどのように開られたのかが謎だというのである。

 ドイツの鉱物学者が定めた宝石や鉱物の高度を等級付けするモース硬度によると、翡翠の硬さは「モース硬度7」であるという。この数値は、ガラスや鋼鉄にも傷をつけることができるほど非常に硬く、なんとダイヤモンドカッターを使用しても加工や削ることが難しいと言われている。

 翡翠には、硬玉と軟玉の2種類が存在していると言われている。しかし、考古学上、翡翠と呼ばれるものは一般的に硬玉を指している上、日本においても宝石として用いられてきた翡翠はほぼ硬玉であり、三内丸山遺跡などの出土品から確認できるという。そんな加工がきわめて難しいはずの翡翠に、まるで電動ドリルを使用したかのような綺麗な穴をどうやってあけることができたのか。これが現在も謎として残されており、翡翠の勾玉がオーパーツとして語られる所以となっているのである。

日本のオーパーツ?古代超技術?「翡翠の勾玉」にあいた穴の謎
(画像=宇木汲田遺跡(佐賀県)で出土した弥生時代中期の糸魚川産ヒスイ(硬玉)製勾玉 Peka – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる,『TOCANA』より 引用)

 一説によると、砂などを研磨剤にして竹串のようなものをこすり合わせて開けたのではないかと考えられている。ある実験によると、石英を含む砂と竹を使用することで翡翠に穴を開けることができるということが確認されている。

 これは勾玉ではないが、長野県の長峯遺跡から出土された穴の開いた翡翠を見てみると、開けられた穴のそばに凹んでいる部分が、場合によっては複数確認できることがあったという。これは、穴を開けようと何度か定めようとしていた痕跡であるとされており、それだけ翡翠に穴を開けるのが難儀であったことがうかがえるという。

 確かに竹と砂を利用することで穴を開けることは可能であるかもしれないが、いずれにせよ想像を絶するほどの根気と時間を要するということである。そうであるとすれば、翡翠の勾玉に魅せられた古代人の執念がいかに強烈なものであったかが窺い知れる。

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文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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