「子供にはまだ早い!」と性的コンテツに若い世代が触れないように配慮することは社会的な常識です。
しかし、どうして子供がポルノに触れてはいけないのでしょうか?
性的虐待に当たるような問題はともかく、ある程度性的な関心が芽生えた子供がネットなどで自発的にポルノに触れてしまった場合、そこにどのような悪影響が生まれるのでしょうか?
実のところ、この影響については具体的なことがよくわかっていません。
そこで米ユタ州立大学(USU)の研究チームは最近、人生の早い時期からポルノに触れてた人たちに見られる影響を調査。結果、16歳以前からポルノを見ている人は、そうでない人に比べて、日常の生活満足度が低くなるという問題を発見しました。
研究の詳細は2024年3月20日付で学術誌『Sexual Health&Compulsivity』に掲載されています。
若い頃からポルノに触れると、成人後に何が起こる?
性的なコンテンツは、表向きには子供の目から隠されていますが、実際のところ興味を持てば誰でも触れられる場所に存在しています。
3、40代以降の人たちならば、深夜番組やコンビニの本棚などにアダルトコンテンツは溢れていましたし、昨今はインターネット普及に伴い、10代の早いうちから成人指定のコンテンツに触れる機会はたくさんあります。
ほとんどの人が、若い頃、大人にダメと言われつつも何らかのアダルトコンテンツに触れた経験があるでしょう。
そのため、社会的には忌避されているものの、人生の早い段階でポルノに触れても特に問題はないと考える人も多いかもしれません。
実際研究者たちも「若い頃からポルノに触れることが将来的にどんな影響をもたらすか」については、まだ明確な答えを持っていません。
そこで今回の研究チームは、人生の早い時期にポルノに触れることが、成人後の性行動や性的嗜好、および日常の生活満足度にどのような影響を与えるか調査することにしました。
調査はアメリカ在住の一般人1055名(男性39%・女性60%、年齢18〜72歳)を対象に収集した2015年のデータを使用しています。
参加者はアンケート形式の質問票を用いて、性的コンテンツに初めて接した年齢、過去12カ月間におけるポルノの使用頻度について回答しました。
また性交渉の相手がこれまでに何人いたか、虐待的および強制的な内容の過激なポルノをどれくらい好んで見るか、それから自身の日常的な生活満足度についても評価してもらいました。
そしてチームは「最初にポルノに接した年齢」ごとに参加者をグループ分けし、それぞれの性行動や性的嗜好、日常の生活満足度を比較分析しました。
その結果、ある興味深い影響が確認されました。人生の早期にポルノへ接触していた人は、成人後の生活満足度が低くなっていたのです。