パイナップル以外にも?
消化力のある果物はパイナップルだけではありません。
例えば、キウイには「アクチニジン」というタンパク質分解酵素が含まれています。
また、パイナップルやキウイほど酸っぱくないパパイヤには「パパイン」が、それから、イチジクには「フィシン」というタンパク質分解酵素が含まれます。
面白いことに、舌のチクチクは、タンパク質分解酵素と酸味の組み合わせで起こる痛みです。
そのため、酸味のないパパイヤを食べても痛みは起きませんが、消化能力は持っています。
また、ブロメラインとパパインは、タンパク質を消化できるため、お肉を柔らかくするのに役立ちます。
なので、酢豚にパイナップルを入れるのは理にかなっているのです。
なぜフルーツにタンパク質分解酵素を多く含むものが多く存在するのかは、よく分かっていません。
一説には、果実が熟して種子が残せるようになる前に動物に食べられないための防護策、あるいは、酵素に果実の成長や成熟を助ける働きがあると考えられています。
これからパイナップルを食べる際は、舌の上での攻防も楽しんでみてはいかがでしょうか。
※この記事は2021年6月公開のものを再掲載しています。
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参考文献
Can A Pineapple Eat You?
https://www.scienceabc.com/eyeopeners/can-a-pineapple-eat-you.html
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。