史上最悪の”くしゃみ”かもしれません。
米フロリダ大学(University of Florida)はこのほど、63歳の男性がくしゃみをした瞬間に、腹部の手術痕から腸が外に飛び出るという異例の症例を報告しました。
男性は驚きのあまり、咄嗟にシャツで自分の腸を隠したといいますが…
果たして、男性はその後どうなったのでしょうか?
研究の詳細は2024年5月28日付で医学雑誌『American Journal of Medical Case Reports』に掲載されています。
目次
- 事故当日、ダイナーでお祝いのはずが…
- 傷口から脱腸したときの医療ガイドラインがない⁈
事故当日、ダイナーでお祝いのはずが…
アメリカ在住の63歳の男性はその日、妻と地元のダイナーで朝食を楽しんでいました。
男性は遡ること9年前、前立腺がん発症のために前立腺の切除術を受けた病歴があります。
さらに男性はこの日の15日前に、膀胱炎と血尿の症状が続いたことで、膀胱の切除術を新たに受けたばかりでした。
膀胱の切除術はとても複雑な外科的手術です。
それは膀胱全体を切り取ってしまうので、腎臓で作られた尿を体外に排出する尿路がなくなってしまうことを意味します。
そこで男性は尿路のルートを変更するという再建手術も同時に受けていました。
しかし手術は無事に成功し、術後経過もきわめて良好なものでした。
男性は泌尿器科クリニックで診察を受け、傷が十分に治癒していると判断され、傷口を塞いでいたステープル(医療用のホッチキス)を取り外しました。
そのお祝いも兼ねて、彼と奥さんはダイナーで朝食を取っていたのです。
くしゃみで腸が飛び出る
男性はダイナーでの食事中に、大きなくしゃみと咳をしました。
その瞬間です。
男性は腹部に生温かく湿った違和感を覚えました。
そして腹部をのぞいたところ、手術を受けた場所から小腸が文字通り「飛び出している」ことがわかったのです。
男性によると「お腹からピンク色の腸のループがいくつも突き出ているのが見えた」と話します。
男性は飛び出した腸をどうすればいいかわからなかったため、咄嗟にシャツで自らの腸を覆い隠しました。
その後、男性は自分で車を運転して病院に行こうとしましたが、彼の奥さんが「体の向きを無理に変えると腸を傷つけるかもしれない」と心配し、救急車を呼んだといいます。
しかし、くしゃみで傷口から脱腸するケースはあまりに異例だったため、救急隊員も正しい処置の方法を知りませんでした。
果たして、どのような処置が行われたのでしょうか?