海外ブランドとは異なる進化を続けてきた日本の時計ブランド。ETAやセリタといったスイス製の汎用エボーシュが高額化するなか、セイコー、シチズン、オリエントなど、国産ブランドは伝統的な機械式時計の製造技術に加え、先進技術を取り入れて、手の届く価格で確かな品質とスペックを備える時計を製造。その存在感を強めてきた。
手頃な価格で実用に耐える機能性と信頼性を備えたムーヴメントの魅力に加え、ケースや文字盤など、外装パーツの製造に関しても国産ブランドのアドバンテージは高い。先進の製造機器や加工技術、ザラツ研磨に象徴される手作業の技術、それぞれの良さを取り入れたウオッチメイキングに加え、伝統工芸からインスパイアされた意匠によって、品質とデザインの両面で日本ならではの個性、魅力を確立しているのだ。
今回は、そんな国産ブランドの時計に注目し、日本の伝統工芸を採用したモデルを厳選してみた。コストパフォーマンスの高さに加え、少しほかと違った日本らしいデザイン、個性を備えた時計を探している方は、ぜひチェックしていただきたい。
【伝統工芸文字盤の国産機械式時計_其の1】
SEIKO PRESAGE(セイコー プレザージュ)
クラフツマンシップシリーズ 有田焼ダイヤル
セイコー プレザージュのなかで、日本の伝統工芸に光を当て機械式腕時計で日本の美を発信する“セイコー プレザージュ クラフツマンシップシリーズ”の有田焼文字盤採用モデル。白磁ならではの透明感と艶やかな陰影が美しい質感が特徴だ。有田の職人たちの技術によって誕生した有田焼の文字盤は、6時位置のサブダイヤルを椀状にくぼませたのち、釉薬をかけて焼き上げることで繊細で滑らかな陰影を実現。インデックスは、文字盤外周を取り巻く曲面によって生まれる磁器特有の光沢を最大限に際立たせるために、内側に細かな文様を施したバータイプを採用し、目盛との距離を近づけて視認性を高めるために、分針と秒針の先端は文字盤側に曲げられた。伝統的な鋳込み成形技術に飽き足らず、進化し続ける“有田焼”の可能性をも感じさせる力作だ。
【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室
TEL.0120-061-012
【伝統工芸文字盤の国産機械式時計_其の2】
The CITIZEN(ザ・シチズン)
高精度年差±5 秒 エコ・ドライブ 「CITIZEN」ブランド時計 100 周年限定モデル
ザ・シチズンのブランドの時計が誕生してから 100周年を記念した藍染和紙文字盤の限定モデル。藍で手染めした和紙文字盤を採用しており、筒に和紙を巻き付けた後、細かなシワを寄せながら一定方向に向かって手繰り、絞りと染色の工程を重ねる“筒巻き絞り染め”を採用することで、繊細な絞り模様の和紙を実現。手作業で染め上げた絞り模様や色合いは同じものができないため、唯一の個性をもつ時計を生み出している。伝統工芸を取り入れたデザインの魅力に加え、ケースとベルトには、ステンレスより約40%軽いうえ、約5倍の硬度をもつスーパーチタニウムを採用。年差±5秒という高精度を誇るエコ・ドライブムーヴメントには、2100年2月28日までカレンダー修正が不要な“パーぺチュアルカレンダー”も搭載しており、実用性の高さも大きな魅力となっている。
【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室
TEL.0120-78-4807
【伝統工芸文字盤の国産機械式時計_其の3】
G-SHOCK(ジーショック)
MRG-B2100B
日本製の品質にこだわるプレミアムオートマティックモデル。会津塗伝統工芸士とのコラボレートで製作された“螺鈿(らでん)”を取り入れたモデル。細かく砕いた貝を職人の肌感覚で貼り付けつつ、螺鈿が外周に向かって変化していく計算されたグラデーションデザインが目を引きつける。文字盤の製作を担当しているのは、過去のコラボレートと同じく会津塗蒔絵の伝統工芸士として高い技術を誇る大竹信一氏。文字盤の製作はすべてが手作業。天然の貝を使用しているためひとつとして同じ模様がないという特別感に加え、製造数が限られるという点も付加価値を高める。この“墨色”にはシンプルな色味の淡水貝に、漆を極薄く塗ることで彩度を抑えるオリジナルの技法が採用されている。伝統をモダンに昇華させた螺鈿の新境地と言えるモデルだ。
【問い合わせ先】
カシオ計算機 お客様相談室
TEL.0120-088925
文◎Watch LIFE NEWS編集部