Techableでは今年2月、Uber Eats JapanのAIロボットデリバリーサービスに関する記事を配信した。同記事の内容は自律走行型ロボットにUber Eatsの配達業務を担わせようという取り組みに関するものだ。

Image Credits:Cartken

今回は同ロボットを開発した米国スタートアップCartkenについて深堀していきたい。

三菱電機が「仕様のローカライズ」を手掛ける

まずはCartken製ロボットの日本での活用とその背景について説明する。

Uber Eats Japan、三菱電機、Cartkenは今年3月6日から東京都内の一部地域で自律走行型ロボットを使ったデリバリーを行っている。これは上述したようにCartkenの製品だが、海外規格のロボットをそのまま日本の公道で走らせるわけにはいかない。

電動キックボードや電動モペット、電動走行スーツケースにも言えることだが、海外で開発された車両を日本国内で利用する際は「仕様のローカライズ」を行う必要がある。Cartken製ロボットのローカライズは、三菱電機が手掛けている。

我が国では昨年4月に道路交通法の一部改正があり、その中で「遠隔操作型小型車」が定義された。以下、遠隔操作型小型車の規定の一部を記載する(経済産業省PDF資料より)。

長さ:120cm  原動機として、電動機を用いること

幅:70cm以下 6km毎時を超える速度を出すことができないこと

高さ:120cm以下 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと

この他にも、遠隔操作型小型車は押しボタン式の非常停止装置を搭載する義務がある。多岐に渡る規定をクリアした自律走行型ロボットを、Uber Eats Japanはいち早く取り入れてデリバリーサービスを展開しているのだ。

工場・飲食店でも活躍

そうした背景もあるため、日本におけるCartkenは「デリバリーサービス用のロボットを開発している企業」というイメージが強くなったようにも思える。だが、Cartkenの製品が活躍する場はデリバリーサービスだけに留まらない。

たとえば、工場の敷地内でもロボットは大活躍してくれる。広い敷地内でライン作業者に対して大量の部品を供給する作業に自律走行型ロボットを用いれば、マンパワーの大幅削減に直結する。

飲食店でのカーブサイドピックアップ(商品を店舗の駐車場で受け渡す販売方法)でも、Cartkenのロボットを活用することができる。スタッフではなく、ロボットに飲食物を運んでもらうのだ。これらを総括すれば、Cartkenの製品は「短距離・ラストワンマイルの物品輸送に特化したロボット」と言えるだろう。

Image Credits:Cartken

Cartkenのロボットは、今のところ2種類用意されている。Uber Eatsにも用いられた「モデルC」と、80kgまでの積載物に対応する「モデルE」だ。後者は公式サイトの画像では多段トレーを搭載しているが、用途次第で柔軟なカスタマイズも可能としている。

Image Credits:Cartken