先日、MLB.comが新人王の模擬投票の最新結果を発表したが、ナショナル・リーグの投票ではカブスの今永昇太投手がトップ、またドジャースの山本由伸投手も2位に選ばれた。日本のファンにとっても、彼らの活躍がメジャーから評価されていることはとても嬉しい出来事だ。

 日本時間6日現在で、今永昇太は11試合に先発し、62.1イニングで5勝1敗、防御率1.88、奪三振65。ドジャースの山本由伸は12試合に先発し、65イニングで6勝2敗、防御率3.32、奪三振76という成績だ。彼らはシーズン終了時にどこまで記録を伸ばすことができるか、非常に楽しみだが、データ分析をしていくこのコラムでは、これまでメジャーに挑戦した日本人投手の1年目の勝利数の上位5人をランキング順に振り返ってみたい。

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1位T:ダルビッシュ有 (2012年)
成績: 16勝9敗、防御率3.90、221奪三振
 昨年のWBCでは投手陣の精神的支柱になったダルビッシュ有。日本ハムからポスティングでアメリカにわたり、最初に所属した球団がテキサス・レンジャーズだった。1年目から221個と日本時代から変わらぬ圧倒的な奪三振能力で、初年度からチームのエースとして活躍。追加ファン投票でオールスターにも選ばれた。

1位T:前田健太 (2016年)
成績: 16勝11敗、防御率3.48、179奪三振
 ダルビッシュと並ぶ16勝を挙げたのが前田健太投手。ロサンゼルス・ドジャースでのデビュー年、前田健太はその安定感と多彩な変化球で開幕からローテーションの一角として活躍。16勝はチーム最多勝となり、また、前田健太にとって現時点でメジャーでの最高勝利を記録した年でもあった。

3位:松坂大輔 (2007年)
成績: 15勝12敗、防御率4.40、201奪三振
 ボストン・レッドソックスに加入した松坂大輔は、その多彩な変化球とスタミナで先発投手としての役割を果たした。メジャー公式戦初先発となったロイヤルズ戦では7イニングを投げ1失点、10奪三振で初登板初勝利と華々しいデビューを飾った。この年のレッドソックスはポストシーズンにも進出、ワールドシリーズでは第3戦に先発し6回途中まで投げ2失点、勝ち投手となりチームのシリーズ制覇に大きく貢献した。

4位:石井一久 (2002年)
成績: 14勝10敗、防御率4.27、143奪三振
ポスティングでロサンゼルスドジャースと契約。オープン戦では降板続きで不安視されたが、シーズンに入ると本領発揮、初先発となったロッキーズ戦で5回2アウトで降板するまで10奪三振を上げ勝利。そこから5月4日のカブス戦まで6連勝。6月終了時点で11勝4敗と力を見せつけるが、6月後半から調子が徐々に降下。さらに9月8日のアストロズ戦で頭部に打球を受け大ケガ、最終的に14勝10敗でシーズンを終えた。

5位T:田中将大 (2014年)
成績: 13勝5敗、防御率2.77、141奪三振
 楽天時代の2013年に24勝0敗という大記録を残し、日本の大エースの看板を背負いニューヨーク・ヤンキース入り。プレッシャーがかかる中、田中将大はその期待に応える。持ち前のスプリットフィンガーファストボールを駆使し、初先発からいきなり6連勝を飾るなど、エース級のピッチングを見せる。しかし、7月に右ひじ靱帯の部分断裂で戦線離脱。ケガさえなければ、より多くの勝利をもたらしただろう、明暗入り混じるデビュー年となった。

5位T:野茂英雄 (1995年)
成績: 13勝6敗、防御率2.54、236奪三振
 日本人メジャーリーガーの「パイオニア」としておなじみの野茂英雄は、ロサンゼルス・ドジャースから5月2日にデビューすると、6月2日のニューヨーク・メッツ戦で初勝利。1試合16奪三振、オールスター選出、新人王など圧倒的な存在感を示した。また、独特なトルネード投法は話題となり、記録にも記憶にも残るメジャー初年度となった。

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 日本人投手は野茂英雄の活躍以降、各時代で米国を驚かせる活躍を見せてきた。ただ、冒頭で話した「新人王」に輝いた投手がいるかというと、実は先発型投手としては、1995年の野茂英雄(※)のみである。単に勝ち星だけでない魅力・実力を魅せつけられるか、今永昇太・山本由伸の2投手には、大いに期待したいところだ。

(SDAA編集部)

※)日本人でメジャー新人王に輝いた投手は他に、佐々木主浩(シアトル・マリナーズ/37セーブ)と大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス/打者として22本塁打など、投手としては4勝2敗防御率3.31の成績)