日常生活の中で、われわれは突如としてトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。電車内でのトラブルなどはその典型とも言えます。各鉄道会社は対応マニュアルを用意しているようですが、とばっちりを受けた方はたまったものではありません。
今から10年以上前の出来事です。JR山手線で新宿駅から池袋駅に向かう際の出来事になります。当日は雨が降っていました。時間は20時ごろで、比較的空いていたのを覚えています。私はつり革につかまっていました。池袋駅に到着すると女性に声を掛けられました。
女:カバンが当たったんです。痛いんです。
私:どこにですか?
女:“顔”に当たりました!
当日使用していたのはゼロハリバートンのジェラルミン製アタッシュケースです。当たれば相当痛そうですが、私は何かにぶつけたような覚えなどありません。
口論になりそうだったので、ホームに降りることにしました。女性が駅長室に行きたいと言うのでそのまま駅長室に入っていきました。駅長室には駅員が1名いました。
駅員:何をされたんですか? (←最初の時点で違和感を覚えます)
女:この人のカバンが顔に当たって痛いんです!
私:はぁー覚えがありません。
女:痛いんですっ!!
私:あなた、さっきから自分でつねってますよね?
女:さすっているんですっ!!!
そう言うと、女性はおもむろにケータイを取り出しました。
女:おはよーございますっ! 池袋で事件に巻き込まれました。遅刻します!(プチッ)
私:えっ、これから出勤なんですか? 遅刻しそうなのでトラブルをでっち上げたと??
女:違いますっ!!
私:タクシーくらい使えばいいのに。それとも出ないのかな?? お気の毒(笑)
遅刻の言い訳の材料に使われようとしていることに気付いた私も少しだけ挑発的な言葉使いをしてしまいました。
すると、女性は、言葉にすることもはばかるような汚い言葉を吐いて、駅長室を飛び出していったのです。