ちなみに、プーチン大統領は、マリア・ボロンツォワ氏と妹のカテリーナ・チホノワ氏を自分の娘であると公に認めたことはない。ロシアのメディアでも報じられることはほとんどなかった。しかし、2人の娘さんの名前は欧州連合(EU)、英国、米国の制裁リストに載っている。資産は凍結され、入国禁止が実施されている。

マリアさんについては「2019年から遺伝子工学のための国家科学プログラムの連邦評議会のメンバーであり、サンクトペテルブルクの研究クリニックで病原性の脆弱性と治療法の選択肢についてロシアのゲノムを研究する会社Nomekoの共同所有者」という事だけが明らかになっている。プーチン大統領は遺伝子工学を未来の科学だと説明していた(ドイツ民間ニュース専門局ntvの2024年01月12日のウェブサイトから)

次女カテリーナ・チホノワさん(37)は元著名なバレエダンサーのイーゴリ・ゼレンスキー氏とパートナー関係だ。偶然にもその名前はウクライナのゼレンスキー大統領と同名だ。独週刊誌シュピーゲルによれば、カテリーナさんは2019年までドイツのミュンヘンに20回以上訪問していた。目的はミュンヘンに住むゼレンスキー氏と会うためだ。両者の間には1人の子供がいる(カテリーナさんは2013年、ロシアの億万長者キリル・シャマロフ氏と結婚したが、2018年に離婚した)。プーチン氏が2月24日、ウクライナに軍を侵攻させて以来、カテリーナさんはミュンヘンに飛ぶことができなくなった。欧米側の対ロ制裁の結果だ(「プーチン大統領の娘さんの『話』」2022年9月9日参考)。

ところで、独裁者には珍しいことではないが、プーチン氏にも複数の愛人がいるという。西側メディアでもよく知られている愛人としては、元体操選手のアリーナ・カバエワさんだ。プーチン氏との間に双子を含む4人の子供がいる。英紙デイリー・スターによると、プーチン大統領の恋人とされる人物は4人の子供たちとともにスイスの私有山荘に滞在し、毎年850万ユーロを自由に使えるという。そのほか、プーチン大統領は家政婦のスヴェトラーナ・クリボノギフさんとの間に秘密の娘がいる。彼女がモナコに高級アパートと7300万ポンド相当の豪華ヨットを所有していることが明らかになった。投獄されている反体制派活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏は「この国には2000万人の物乞いがいるが、プーチン大統領は恋人のためにヨットを買っている」と批判している。

なお、金正恩総書記はロシアとの関係を強化する狙いもあって、プーチン大統領を平壌に招く計画を進めている。訪問が実現すれば。両者は案外、年齢の差を超えて話が弾むかもしれない。金総書記は年配者のプーチン氏から独裁者としての在り方だけではなく、「愛の外交」についても興味深い話が聞けるかもしれない。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年1月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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