S氏は原因不明の病で倒れ、神憑かりを経験。謎の声を聞いたあと、人の悩みを見抜くことができるようになり、いつのまにか占い師/霊能者として密に活動するように。依頼者から聞いた悲惨な現場とは……。
――祓いもされているんですか?
S氏:基本的に紹介でしか受け付けません。これも御縁といいますか、こちらから「お祓いしましょうか」なんて言いませんよ、胡散臭いですし(笑)。ただ、神道でもダメ、仏教でもダメとなると、海外のものが絡んでいることが多いんです。そういう場合、キリスト教やイスラム教などに伝わる方法を用いて解決することにはなります。
――首つり屋敷のお祓いとは?
S氏:だいたい依頼を受けてから相談者に連絡するまで3週間ほどは待っていただくんですね。どうしても一件ずつ解決していたら、それくらいになってしまいます。私も霊能者が本業なわけではないですから。 その依頼は、当初は夫婦仲についてだったんですが、待っている間に相談内容を変えたいと言われました。内容を伺うと「引越しについて相談したい」と。ところが大変な内容でした。相談者の男性は、父親と確執があり成人して間もなく実家を飛び出したそうです。紆余曲折あって結婚と離婚を経験し、最終的に再婚した妻を連れて実家に戻ってきたということでした。理由は、その実家を管理する者もいなければ、住む人もいないからです。 それで、実家に住んでいた父親が3年前に首を吊ったというんですよ。耳を疑いました。「え、そこにまだ住んでるの?」と。さらに、いわく「この家にきたその日から妻がずっと首が痛いって言ってるんです。病院で診てもらってもどこにも異常がないと言われました。でも親の供養として、この家に住みたいなと思っています。でもやはり引っ越したほうがよいでしょうか」と。
――霊障ですか?
S氏:霊障です。この相談内容を読んだ直後、なぜか私の首まで痛くなりましたから。ただ私の場合は、無関係ですから「おまえ何さらしとんじゃ、殺すぞ!」と思わずキレてしまいましたけども。もっとも既に死んでるから殺すも何もないんですけどね(笑) いろいろ話をきいた結果、これはガチで介入せざるを得ないと判断し、亡くなられた父親、また祖父母からも話を聞きました。いわゆる「おろし」、降霊をやったわけです。すると相談者の悩みには、姉の生霊が関わっていると判明しました。相談者の姉は、熱心なカトリック信者らしいのですが、どうやら自殺した父を許すことができず、憎んでいた。また、その恨みが出て行った母親、亡くなった祖父母にまで向いていて渦を巻いていたんです。
――祓いは成功しましたか?
S氏:当初お寺で供養してもらい、その後、現地の神社の力を借りて、土地を清めて更地にするのがよいと思っていましたが、御神仏からは「まずはキリスト教の話を片付けてから、こっちに持ってこい、筋違い」と断られまして。仕方なく、キリスト教的に四神相応を構築して、まず家屋を霊的に安定させて、天使の加護を結びつけて、姉弟の和解、家屋の清めと更地になるまでの見通しを立てました。
おそらく解決するのは7年後ですが、なんとか無事に終わったと思います。複数の宗教が絡む祓いは本当に大変ですね。思わぬ隙間から何かが伸びてきて、首に痛みが来たりする。
しかし問題はいつでも生きている人間にあるんです。恨み、つらみ、羨望、暗い欲に支配された感情。これらのものと直面し解決できないのなら、いくら心霊オカルト的な解決をもたらし、お祓いをしても効果はあまりないように思います。皆さんも首が痛くならないように注意してください。
文=神ノ國ヲ
提供元・TOCANA
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