「人食いエスカレーター」が母親の命を奪う
エスカレーター事故は、利用者の不適切な行動によって引き起こされるだけでなく、エスカレーター自体の欠陥が原因のケースもある。2015年7月26日に中国湖北省荊州市の百貨店で発生した事故は悲惨で、英紙『the Daily Mail』などでも報じられて世界中で話題となった。「人食いエスカレーター」として有名な事故だ。
監視カメラ映像には、上りエスカレーターに乗っている母子の姿が映っている。向柳娟さん(当時30)とその息子(当時2)だ。向さんが息子を抱きかかえ、エスカレーターからフロアへ進んだところ、足元の床が急に崩れてしまった。向さんは息子を逃すことに成功する。しかし、自らは体が穴にすっぽり入ってしまい、腕の力だけで抜け出すことはできない。女性店員2人が救出しようとするが間に合わず、向さんは完全に穴に飲み込まれてしまった。機械に挟まれた向さんは死亡した。
映像に映っていた女性店員2人は、エスカレーターのカバーが緩んで持ち上がっているのを発見したが、エスカレーターを停止しなかった。その結果、向さんがカバーを踏んだ際にカバーが反転し、エスカレーターの内部に転落する事故に発展した。事故を受けて、荊州市労働安全局が市内全域でエスカレーターなどの特別安全検査を実施することを発表した。
事故を起こしたのは「申龍」製エスカレーターだった。一部メディアの調査では、申龍が主要業務の7割を外部委託していたことや、湖北省支店が税務部門から行政処分を受けていたことなどが明らかにされた。杜撰な企業体質が引き起こした惨事だったとみられる。
2023年12月4日には、韓国ソウル中心部にある地下鉄の駅で、エスカレーターが逆走し、15人がケガをした。このような事故に遭遇したら不運だったと諦めるしかない。一方、不適切な行動のせいで引き起こされる事故は確実に防げる以上、エスカレーターを正しく利用することが大切だ。
参考:「中国新闻」、「ViralTab News」、「the Daily Mail」、ほか
文=標葉実則
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提供元・TOCANA
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