ホームレス状態も経験、CEOは低所得家庭出身だという

多様な言語で求職者をサポートしつつ、採用担当者の業務も効率化するEarlybird AI。2023年設立の同社は、「かつての失業者」が立ち上げたことでも知られている。

UKTNの記事によると、Earlybird AIの共同設立者・CEOのClaudine Adeyemi-Adams氏は、低所得家庭の出身だと伝えられている。一度はホームレス状態を経験、低賃金労働に従事した経歴を持つという。

Image Credits:Earlybird AI

身をもって失業や貧困の辛さを知るだけでなく、就業支援サービスの元利用者として、制度が抱える問題点もよく理解しているのだ(イギリスの就業支援・失業給付制度の問題点は、2016年の映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』にも垣間見える。病気で休職中なのに就業可能と認定され給付金が下りない、架空の求職活動や慣れないパソコン操作を強いられるなど)。

ロンドン市長主催の企画でファイナリストに選出

Earlybird AIは、ロンドン市長サディク・カーン氏の肝入り企画「No Wrong Door」において、ファイナリスト15社に残っている。

パキスタン移民2世であるカーン氏は、バスの運転手である父親と裁縫業者(いわゆる「お針子」)の母親との間に、8人きょうだいの5番目として生まれている。なお失業・不況の解消を目指す同イニシアチブの最終優勝企業は、8月に発表される予定だ。

IT巨人のGoogleも出資に参加した今回の資金調達は、貧困の連鎖による社会階層の固定を打破する大きな一歩ともとれる。Earlybird AIは調達資金で技術チームを増員し、技術力を強化するという。

(文・澤田 真一)