2003年10月16日、宇宙飛行士の楊利偉(ようりい)がミッションにより宇宙船「神舟(しんしゅう)5号」で21時間の滞在をした。中国人初の宇宙飛行士として、また宇宙飛行をした241人目の人類として楊は大きく称えられることとなった。しかし、後年の2016年になって楊がかつての宇宙船の中で起こったという恐怖体験が語られ、大きな議論を呼ぶこととなった。

 楊が宇宙船滞在時に体験した出来事というのは、滞在した21時間のあいだ頻繁に繰り返し鳴り響いていたという正体不明のノック音であったとのこと。ノック音はどこからともなく聞こえてきており、宇宙船の外から鳴っているのか、それとも中で鳴っているのかそれすらわからなかったという。船体を叩いているかのような、まるで鉄のバケツを木槌で叩いているような音だったと彼は表現している。

 この現象に不安を抱いた彼は、船内を見回ったり窓から外の様子を伺ったりしてみたものの、特定につながるものは何も発見できなかった。彼は、地球へ帰還後にこのことを指導部に語り、技術者が音の模倣をして特定を試みたものの、ついに解明に至ることは無かったという。なお、帰還してからノック音を耳にすることは無かったそうだ。

 この謎のノック音は、2005年に打ち上げられた神舟6号、そして2008年に打ち上げられた7号それぞれの乗組員も確認したとの報告があったが、事前に楊の体験を聞かされていたためにそこまでの不安は抱かなかったという。それ以後、このノック音が確認された報告は聞かれておらず真相は不明なままとなっている。

宇宙船「神舟」の中で聞こえた「謎のノック音」とは?中国人初の宇宙飛行士が告白した恐怖体験
(画像=試験中の神舟 中国新聞社, CC 表示 3.0, リンクによる,『TOCANA』より 引用)

 宇宙における謎の異音については、1969年にアポロ10号が月の裏側で聞いたという口笛のような音であったという謎のノイズが有名だろう。このノイズは、無線通信の干渉が原因であると一応の説明がなされてはいるものの、一方神舟でのノック音は、スペースデブリ(宇宙塵)の衝突音ではないかとの意見もあげられているという。

 このノック音は、結局のところ中国の宇宙船のみでの報告であるため、神舟5号から7号間における何らかの特徴的な構造を持っており、熱の膨張や冷却の緊縮などによって船体が発している音ではないかとの予測がなされている。そもそも、ノック音が聞こえること以外に事故も特に発生してはいないということであるため、船体の問題であれば解決済みではないかとのことで事態は落ち着いているようである。

 アメリカ、旧ソ連を含むロシアに次いで3番目(42年ぶり)に有人宇宙飛行を成功させた中国。アメリカやロシアでは、これまで多くの宇宙飛行士、宇宙船絡みの奇妙な出来事などが都市伝説・陰謀論的に多く語られてきた。現在、積極的に宇宙開発を進めている中国において、このノック音はそうした領域に踏み込んだことの証となる一つの洗礼であったのかもしれない。

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文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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