地球温暖化がこのまま続いていくと、ある時期からヨーロッパが冷え込んできて酷寒の地に様変わりするという。矛盾するこの気候変動をどう理解すればよいのか。鍵を握るのは海の流れであるという――。
■温暖化から一転して地球は氷河期に!?
2004年のディザスター映画『デイ・アフター・トゥモロー』では、地球温暖化によって極地などの氷が融解して世界各地で異常気象が頻発し始め、津波や竜巻などの大災害が引き起こされた後、地球が氷河期に突入するというシナリオが描かれている。
当時、同作は単なる突飛な気候災害映画に過ぎないと思われていたかもしれないが、現在、科学者たちはこの映画がまもなく現実になるかもしれないと警告している。新たな研究で、気候変動によりヨーロッパが極寒に陥る可能性があることが明らかになったからだ。
ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの研究チームが今月「Nature」に発表した研究では、温水の重要な流れである「メキシコ湾流(Gulf Stream)」が気候の変化に特に敏感である可能性が突き止められ、気温上昇により海流が消滅し、ヨーロッパが凍りつく可能性を示唆している。
メキシコ湾流は、北アメリカ東海岸を北上し、大西洋を横切ってヨーロッパまで流れる温水の流れである。メキシコ湾流が到達したヨーロッパでは、大気中に熱エネルギーが放出され気温はより高くなる。
しかしすでにいくつかの研究で、地球の気候を左右する海流のパターンが弱まっていることが指摘されているのだ。
研究チームのデビッド・ソーナリー教授は英紙「Daily Mail」に対し「海流の強さが変わると、熱がどこに行くかが変わります。これにより気候が変わり、より短い時間スケールでは天候も変わります」と説明する。
メキシコ湾流自体は、地球全体に熱水を送り出す広大な海流ネットワークである大西洋南北循環(AMOC)の一部にすぎず、メキシコ湾流が属する亜熱帯ループ(subtropical loop)と、熱をさらに北の北極に運ぶ亜極ループ(subpolar loop)がある。
最大の懸念の1つは、地球温暖化によって亜熱帯ループを駆動する“エンジン”が破壊されることである。
グリーンランドの氷床からの淡水が溶けると、これらの冷たい塩分を多く含む水の塩分濃度が薄まり、密度が低くなる。
一部の研究では、この一帯の海水の密度の低下が亜熱帯ループの循環を遅延させ、メキシコ湾流を弱める可能性があることが示唆されている。また地球温暖化により、メキシコ湾流の推進力となっている北大西洋の強い風がすでに弱まっていることも指摘されているのだ。
それでもメキシコ湾流が完全に消失するという可能性は低いが、もしそうなった場合、ヨーロッパの気温は現在よりも10~15度低下する可能性があるということだ。
今年の夏も猛暑続きが予想されるが、今日の地球温暖化がどこかの時点で寒冷化に向かうののだろうか。ディザスター映画の破局的な光景が現実のものとならないことを願いたい。
参考:「Daily Mail」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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