科学の世界では、仮説的な質問は常に魅力的だ。なぜなら、既知の事実を新たな視点から考えることで、私たちの住む惑星の巨大さをより深く理解できるからである。そこで、地球の自転が止まったら何が起こるか、考察してみよう。
まず、地球の自転が1秒で停止したと想像してみる。赤道上では、時速1,670kmで走る車が急ブレーキをかけたような状態になるだろう。建物の中にいれば最も東側の壁に叩きつけられ、通常の47倍もの加速度を体験することになる。幸い、これだけでは死なないかもしれない。しかし、周囲のあらゆるものが致命的な被害を受けるだろう。
地球は静止しても、他のすべてのものは元の速度で動き続ける。大気や海洋も例外ではない。風速だけを見ても、秒速450mを超える猛烈な風が吹き荒れることになるだろう。これは、観測史上最強の台風(秒速約113m)の4倍以上に相当する。さらに、巨大な津波が発生し、強風の被害を免れた僅かなものも破壊し尽くすことになる。
被害の程度は赤道に近いほど甚大になるが、長期的に見れば極地近くも安全とは言えない。地球は自転によって赤道部分が膨らんでいるため、極地は赤道よりも地球の中心に約21km近い。自転が止まれば、海水は重力の最も強い極地に向かって移動し、壊滅的な地震を引き起こすとともに、赤道を横切る1つの巨大な大陸と2つの別々の海洋を形成するだろう。
地図作成・分析会社Esriのウィトルド・フラチェクによると、北側の海洋にはヨーロッパとロシアの大部分が沈む。グリーンランドとカナダ全土、シカゴ、シアトル、ボストンも水没する。ニューヨークは方向が変わるだけで、依然として海に近い場所にある。南半球では、アルゼンチン、チリ、ニュージーランドの大部分と南極大陸全体が海に覆われる。
つまり、もし地球の自転を遅らせるという悪の計画があるなら、北極に設備の整った浮遊移動基地を置くのが最適だろう。この場所には利点がある。地球は1年に1回の「昼夜」を経験するので、基地を移動させることで通常の昼夜サイクルを再現できる。しかし、長期的には状況は悪化する。自転のない地球には磁場がなくなり、地球の液体核も静止してしまう。磁場がなければ、このような激変を生き延びた僅かな生物も、最終的には放射線の影響で死滅するだろう。
実際のところ、地球の自転は既に自然に遅くなっている。過去100年間で、1日の平均の長さは1.7ミリ秒増加した。この長期的な傾向は地球と月の潮汐作用によるものだが、1日の長さは他の要因でも変動する。現在のペースで続くと、地球の1日が1年と同じ長さになるまでには185億年かかるようだ。
地球の自転が止まるなど、ちょっとした悪夢のようだ。しかし、こんな極端な仮説を考えることで、普段は気づかない地球の不思議さを感じ取れるのかもしれない。
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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