この宇宙の遥か彼方に生息するエイリアンが発したシグナルなのか――。1977年に電波望遠鏡で検知された「Wow! シグナル」とは 何だったのか。
■宇宙からの謎の信号「Wow! シグナル」とは
1932年に電波望遠鏡が発明されて以来、エイリアンが発する信号を捉えられるかもしれないと期待する人々も少なくなかったのだが、実際にはその主な用途は興味深い天体の探査であった。
1960年にエイリアンからの無線信号の探索を目的に地球外知的生命体探査(SETI)が発足したものの、当初の取り組みは短期間で往々にしてその場限りのものであったのだ。
ひとつの転機となったのは1963年に運用が開始された電波望遠鏡「ビッグイヤー(The Big Ear)」である。ビッグイヤーはオハイオ州立大学の地球外知的生命体探査 (SETI)計画に用いられたのだ。
ビッグイヤーが稼働中に収集したデータはすべてプリントアウトされていたのだが、1977年8月15日に天文学者のジェリー・エーマン氏は、データに「6EQUJ5」として表記された72秒間のシグナルに気づいて驚き、これらの文字を丸で囲んでその横に赤いペンで「ワオ!(Wow!)」と記し、以降このシグナルは「Wow! シグナル」と呼ばれることになった。
エーマン氏が丸で囲んだ文字は、背景の6~7倍の強度が10秒間続き、その後に背景の14~15倍の強度が10秒間続くことを意味している。Uの存在はピーク時に望遠鏡が背景の30~31倍の強さで何かを捉えていたことを示しているが、それが何であるかについては今もまったくわかっていない。
普通に考えれば「シグナル」とは意図的に発信されたものであり、エイリアンであれ人間であれ、何らかのメッセージを含んでいるように思われる。しかし科学者にとってのシグナルとはランダムなノイズ以外のものがすべてが当てはまる。中性子星や木星からの電波放射は明確なシグナルとして検知されるが、これはもちろん自然発生的なものだ。
エイリアンが発するシグナルであるとすれば、非常に狭い帯域で発せられることが予想される。多くの周波数で発すればエネルギーが無駄になり、通信に不向きであるからだ。
ビッグイヤーの解像度は10kHzしかなかったので、検知された「Wow! シグナル」の帯域はそれなりに狭かったと考えられるが、どの程度狭かったかのは当時のデータからはわからない。したがってエイリアンのシグナルである可能性がわずかに高まったといえなくもないが、この帯域の自然発生源も珍しくはないということだ。
では「Wow! シグナル」がエイリアンからのメッセージではない場合、どのような可能性が考えられるのか。
●彗星説
検知の時点で彗星が宇宙空間の同じ領域にあったのは事実である。しかしこの彗星は「Wow! シグナル」の正確な発生源にあまり近くなく、また空間をカバーしすぎているという理由ですぐに否定されている。
●地上発生説
最も面白味のない説明はシグナルが地上からのものであり、おそらく宇宙ゴミが反射したものだという説だ。2020年にプロキシマ・ケンタウリから検出されたとされるシグナルは、実は地上や宇宙からの雑音である可能性が最も高いといわれている。
●人工衛星説
1977年当時の衛星の数は今日よりもはるかに少なかったが、たとえば2017年に検知された「奇妙なシグナル」はその後に静止衛星からのものであったことが確認されている。
●大気の歪み説
大気の歪みであるという説も提案されているが、明確な説明は今のところできないようだ。
陰謀論者は「Wow! シグナル」はエイリアンによるものであり、当局がその真実を隠蔽していると確信している。しかし「Wow! シグナル」についての情報はオープンに過ぎるほどすべて公開されており、誰もがさまざまな仮説を組み立てられることは間違いないようだ。この未解決の謎のシグナルについてアナタならどのような想像をめぐらせるだろうか。
参考:「IFLScience」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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