「田舎暮らしに憧れて移住したけど、独特な風習になじめない…」

「上京して購入したマンションに住み始めたけど、お金がかかるし制約も多すぎて・・・」

老後は田舎でゆったり生活したいという人もいれば、都会で便利な生活をしたいという人もいるはずだ。しかし、実際に住んだ後に「こんなはずじゃなかった……」と後悔する人は結構多い。田舎の一軒家での暮らしと都会のマンション暮らしには、それぞれのメリットとデメリットが存在し、潜む落とし穴もある。これらについて解説しよう。

「老後田舎の一軒家デビュー」の落とし穴、メリット・デメリット

「静かに暮らしたかったのに、ご近所で宴会ばかり…しかも男全然働かないし」

田舎は東京に比べて人口が少ないが、近所付き合いや親戚が集まるイベントが頻繁に行われることをとを把握しなければならない。

他人と程よい距離感を保ちながら生活したい人にとって、緊密な関係は、苦痛に感じるかもしれない。また、「女は手伝い、男は何もしない」という風習がいまだに残っている土地もあるので、女性は、都会での暮らしとは異なるストレスがたまることがある。

まずは田舎の一軒家のメリットとデメリットを見てみよう。

メリット:自由気ままな暮らしが手に入ること

田舎の一軒家のメリットは、のどかな場所で自由な暮らしができることだ。庭があればガーデニングや家庭菜園を楽しめるし、ペットを飼うことにも制約がない。隣家とある程度の距離があれば、騒音の心配もないだろう。

また、管理費や修繕積立金などのランニングコストが不要だ。家の修繕も自分たちが必要と思うことだけを行えばよいので、必要以上のお金がかからない。

デメリット:地方独自の風習になじめない場合がある

デメリットは、地方独自の風習になじめない場合があることだ。都会と田舎では、文化や習慣が大きく異なる場合があり、移住者は大きなカルチャーショックを引き起こすことも。

都会と比べ不便な点もデメリットといえる。周りに店や病院がない場合は、買い物や通院で困ることもあるだろう。

高齢になって体の自由が利かなくなったときには不自由が多くなるかもしれない。

「老後は都会マンションで便利で快適な暮らし」の落とし穴、メリット・デメリット

利便性や孤独の解消を目的に都会のマンションで老後生活を始めたものの駐車場代が高すぎて車を持てない、地域住民との交流が全くなく日々無言で暮らす、など老後の都会マンション暮らしにも、住んでみないとわからない落とし穴がある。

次に、都会のマンションのメリットとデメリットを見てみよう。

メリット:便利さや暮らしやすさ

都会のマンションのメリットは、ワンフロアでバリアフリーな空間で生活が送れることや、外構や庭などのメンテナンスを自分でやらなくてよいことだ。

駅に近い、周りに商業施設があるなど、比較的便利な場所が多いので、買い物や通院で困らないだろう。

デメリット:費用面での負担やさまざまな制約がある

デメリットは、管理費や修繕積立金などを生涯支払わなければならないことだ。

また、管理規約に沿って生活する必要があるので、ペットが飼えないなどの制約がある場合もある。隣家との騒音トラブルに悩むことも出てくるかもしれない。

都会に住むことで孤独を解消できると期待することもあるが、注意が必要だ。都会は田舎に比べて地域住民との交流が希薄になりがちである。

自分はどちらが向いている?

こうしたメリットとデメリットを知って、都会から田舎の一軒家に移住すべきか、田舎の一軒家を売却して都会のマンションに住み始めるか、決めるようにしたい。それぞれに向いている人の特徴を挙げると、例えば次のようになる。

田舎の一軒家に向いている人

・クルマでの移動が好きな人
・自分で庭の手入れや家の修繕などを好んでできる人
・大音量で音楽を楽しむことや、ピアノの練習など、騒音問題のため我慢しながら生きてきた人

都会のマンションが向いている人

・あまり遠出をせずに生活を完結させたい人
・ペットを飼う予定がない人
・修繕積立金や管理費の負担があっても、自分の資産にさほど影響がない人

身体面と収入面の両方を考慮した上で選ぼう

田舎の一軒家と都会のマンションでは、一概にどちらがよいとは言い難い。

ただ、高齢になると身体機能が衰えるため、作業や外出が億劫になり、病気などのリスクが高まるのは確実だ。

また、基本的に年金収入のみで貯蓄を切り崩して生活していくことにもなるので、身体面と収入面の両方を考慮した上で住まいを決める必要があるだろう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。