先月、考古学誌に掲載された研究論文が多くのメディアの注目を集めた。なんとその内容は、インドネシアのある山が古代人類によって建設された世界最古のピラミッドであるという驚くべき主張だったのである。しかし、この大胆な結論に対して考古学者たちの間では、懐疑的見方が巻き起っている。
論文によると、「悟りの山」と呼ばれるグヌン・パダンは自然に形成されたのではなく、2万5000年から1万4000年前に現在の形に「細心の注意を払って彫刻」されたものであるというのだ。もしこれが本当なら、エジプトのピラミッドよりも遥かに古いことになる。研究チームは「農業がまだ発明されていなかった頃に、高度な建設方法がすでに存在していたことを示唆している」と記している。
他の大胆な主張の中には、遺跡には「隠された空洞または部屋」があり、遺跡自体は「おそらく保存目的でその正体を隠すために」数回埋められたようであるというものだ。
並外れた主張には並外れた証拠が必要だ。他の考古学者は、研究チームが信頼に値する証拠を提供したとは到底確信できないでいる。インドネシアの考古学者、ルトフィ・ヨンドリ氏はネイチャー誌に、「彼の研究は、この地域の人々が1万2000年から6000年前に洞窟に住んでいたことを示していることにとどまっている」「数千年前にこの地域の人々がピラミッドを建設するために起用したとされる“驚くべき石積み能力”を持っていた証拠は残っていない」と語った。
英国カーディフ大学の考古学者フリント・ディブル氏はネイチャー誌に対し、「この論文は“正当なデータ”を用いてはいるが、不当な結論を下している」と語った。例えば、研究チームは炭素年代測定法を用いて、「構造物から採取した有機土壌の年代測定により、紀元前数千年前にさかのぼる複数の建設段階が明らかになり、その初期段階は旧石器時代にさかのぼる」と主張した。
研究チームによると、墳丘の周辺から採取された土壌サンプルは、2万7000年前の「建設」の最も古い部分と推定されている。これは事実かもしれないが、これらの土壌サンプルには、骨片や木炭など、人間の活動を示す兆候は見られなかったと、他の考古学者はネイチャー誌に指摘している。要するに、周囲に人間が活動していたことを示す更に説得力のある痕跡が無いのであれば、その証拠は古い土壌であるというだけのことにしかならないのだ。
研究チームが人工的なものであるとの可能性があると提示した短剣状の石には、そのような結論を裏付ける実際の研究の痕跡が見られないなど、研究チームの発見をめぐる他の疑問も浮上している。論文を出版したジャーナルは論文を調査しているのだろうが、懸念の本質を完全に詳述することを拒否している。より有力な証拠が提示されるまで、この山は自然の形成物であるという説明が有力というほかないだろう。
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【文 黒蠍けいすけ】
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
提供元・TOCANA
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