フェイスブックやインスタグラムを運営する米国のメタ(Meta)は4月25日、2024年第1四半期(1月31日~3月31日)の決算を発表した。売上高は364億5500万ドル(前年同期比27.3%増、約5兆7598億円*)、営業利益は138億1800万ドル(同91.2%増、約2兆1832億円)、純利益は123億6900万ドル(同226.6増、約1兆9543億円)と大幅な増収増益だった。
広告インプレッションが前期比で20%増加し、さらに広告の平均価格も同6%増加するなど、主軸のインターネット広告の売り上げが好調で、最終利益は前期比で2.2倍、日本円で約2兆円だった。
業績が絶好調の一方で、著名人になりすました広告によるSNS型投資詐欺が社会問題化しており、メタはこうした問題に対して十分な対応を取っていないとして批判の声があがっている。前澤友作氏や堀江貴文氏、経済評論家の森永卓郎氏、「2ちゃんねる」開設者の西村博之(ひろゆき)氏らがSNS型投資詐欺に利用されている状況は明らかで、メタの日本法人に対して損害賠償を求める訴えを起こした被害者もいる。
警視庁の組織犯罪対策第2課によると、SNS型投資詐欺は昨年1年間で2,271件の被害が確認されており、被害額は約277億円に及んでいる。1件あたりの平均被害額は1,000万円を超えており、500万円以下の詐欺被害が多いものの、1億円を超える高額被害も発生している。
前澤友作氏は自身がこうした投資詐欺に利用されていることに関して、昨年からメタに対策を要請していたものの一向に改善されず、さらに「社会全体でのアプローチが重要だと考えます」とのメタの声明に対して、「日本なめんなよマジで」と怒りを露わにしている。
一般的に広告を掲載する場合、メディア側が広告審査を行う。事業内容や広告表現を事前に審査し、基準に満たない場合は掲載不可となるが、フェイスブックやインスタグラムはこの審査が甘いとしか言えない。にもかかわらず、「社会全体でのアプローチが重要」では、責任の摺り替えと指摘されても仕方がない。
こうした問題に対して、自民党のデジタル社会推進本部などが会合を開き、対策を話し合った。平井卓也本部長は、「特にフェイスブックの詐欺広告の多さは看過できません。メタ社に適切な対応を求めるのは当然ですが、法的対策も早急に進めます」と、国としても対策に動き出す考えを示している。
前澤友作氏は、自身のX(旧ツイッター)で「詐欺行為を働く反社会的勢力から金銭を受け取って詐欺広告を表示し、詐欺行為を幇助しているメタ社は反社会的企業と見られてもおかしくない。そこに広告を出す企業側の倫理観も求められ、今後多くの企業がメタ社プラットフォームから広告を引き下げる可能性がある」と投稿し、さらに「日本政府はメタ社に対して、広告配信業務停止の行政処分を出すべき」と強い言葉でメッセージを発している。
広告インプレッションがいかに高いプラットフォームであっても、詐欺広告が混在していれば広告主も出稿を敬遠する。しかし、NHKの独占インタビューに応えた米国メタの副社長は、「社会から詐欺をなくすことはできませんし、業界としても完全に偽広告を止めることはできません」と、開き直りとも取れる発言をしている。メタが広告審査を徹底しなければ、SNS型投資詐欺による被害は増えていくばかりだ。
*1ドル=158円換算(4月28日時点)
文・高村 学/提供元・SEVENTIE TWO
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