「固定資産税の減税」により、新築住宅にかかる税金が6分の1から半分になる。
固定資産税の減税とは、新築住宅が床面積などの要件を満たすことで固定資産税が2分の1に軽減される制度のことだ。
・自らが居住する部分:50㎡以上280㎡以下(畳30~170枚分の広さ)
・貸家部分:40㎡以上280㎡以下(畳24~170枚分の広さ)
上記の要件を満たす場合に、3年間(新築マンションの場合は5年間)の固定資産税が半分まで軽減される。
なお、認定長期優良住宅においては、同様の面積要件を満たすことで、5年間(新築マンションの場合は7年間)の固定資産税が半分まで軽減される。
さらに見逃せないのが「小規模住宅用地の特例」である。
小規模住宅用地の特例とは、住宅用地のうち200㎡以下の部分にかかる税金が6分の1になる優遇制度だ。
↓ 制度適用
【固定資産税=固定資産税評価額 ×6分の1× 1.4%】
4. 税金3分の1「都市計画税の軽減」
「都市計画税の軽減」を使えば、都市計画税が3分の1になる。
都市部では、固定資産税に加えて、都市計画税がかかる。都市計画税の計算式は下記の通りだ。
【都市計画税=固定資産税評価額 × 0.3%(制限税率)】
たとえば固定資産評価額が1,500万円(小規模住宅用地)の場合、通常は4万5,000円の都市計画税がかかるが、1,500万円×3分の1×0.3%で計算され1万5,000円になる。
※0.3%を超えなければ、各自治体が税率を決めて良いことになっています。
都市計画税の減税により、200㎡までの部分(小規模住宅用地)は課税標準額×3分の1、200㎡を超えた部分(一般住宅用地)は課税標準額×3分の2で計算される。
5.最大1,000万円分が非課税に「贈与税非課税措置」
「贈与税非課税措置」により、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた住宅資金のうち、最大1,000万円までが非課税になる。新築住宅を建築するときに親から援助を受けることはよくある話だが、制度を利用しないと多額の税金を支払うことになるため、覚えておきたい。
本来、現預金の贈与を受けた場合は金額によって最大55%の贈与税率が発生する。しかし制度を利用すれば、贈与額最大1,000万円までについて、税金を納める必要がなくなるのだ。
贈与税の非課税限度額は住宅の質によって異なり、一般住宅は500万円、質の高い住宅は1,000万円が上限となる。
1,000万円を上限にするためには「質の高い住宅」と認められる必要がある。
・断熱性能等級4以上もしくは一次エネルギー消費量等級4以上
・耐震等級2以上もしくは免震建築物
・高齢者等配慮対策等級3以上
※要件:令和4年1月1日から令和5年12月31日までに贈与されていること、贈与を受けた年の受贈者の所得金額が2,000万円以下であること
6.税金が数万から十数万円軽減「登録免許税の軽減」
「登録免許税の軽減」により、税金が数万~十数万円レベルで軽減される。
2,000万円(土地が1,000万円、建物が1,000万円)の住宅の場合、土地と建物で登録免許税が24万円かかるが、登録免許税の軽減が適用されると、約16万円となり5万円減税される。
不動産の売買には登録免許税がかかる。登録免許税は以下の式で計算できる。
登録免許税額 = (課税標準)×(税率)
この登録免許税、令和8年3月31日までの間に登記を受ける場合、土地・建物共に減税措置がある。
余計な税金を納めることにならないよう勉強を
国の各種、優遇制度は手続きがめんどくさい。しかし、「知っていたらお得」ならまだしも「知らないと余計な税金を納めるハメになる」では、話が違ってくるだろう。
制度についての理解は、国民である私たちの責務でもあるので、少なくとも損することがないよう、勉強しておきたい。
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文・勝目麻希(ファイナンシャル・プランナー)
新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。転職・結婚・出産を経て一時は専業主婦になったが、自分の金融知識や実務経験を活かしたいと独学でライターの道へ。現在はファイナンシャルプランナーの知識を活かして金融系メディアを中心に執筆。