「この問題にはどんな意味があるだろう」と考えてみる

人生では「なんでこんなことが起きるのだろう」と思うようなことがたくさんある。昇進が遅れたり、病気になったり、離婚という結末に至ったり。そんなときには「なぜ自分にこんなことが起こるんだ」とつい考えてしまう。しかし起きてしまった現実を悲観してもストレスが溜まっていくだけだ。

それよりも「この問題にはどんな意味があるだろう」と問いかけ、今起きている現実に意味・目的を見出してみよう。スティーブ・ジョブズも自分が創業したアップルを追放された経験を、人生でもっとも良い出来事だったと語っている。その経験が後の大成功につながったからだ。

大きな病や離婚を経験したことが人生の最良の出来事だったと考える人も多い。私自身も同期より昇進が遅れたときは大きな挫折を味わった。しかし今思えばこれは人生で最良の出来事だった。おかけで今の私があるからだ。挫折していなければ私は会社でのキャリアを一生懸命追い続け、自分のビジネスをはじめようなどとは考えなかったはずだ。もちろん、この本も生まれなかっただろう。

現実に抵抗するのではなくコントロールできることに目を向ける

起きる現実をコントロールすることはできない。これは人生で起こりえる大きな問題に限らない。日常の小さな出来事でも同じだ。上司や同僚に不快なことをされたらイヤな気持ちになる。しかし彼らの行動をコントロールすることはできない。幸せに生きる秘訣は現実を受け入れ、そのことに意味と目的を見出すことだ。

人生で問題を感じたら、現実に抵抗するのではなくコントロールできることに目を向ける。これは、目の前の現実の捉え方を変えるということだ。現実を変えることはできない。変えられるのは現実に対する自分の捉え方だけだからだ。

壁にぶつかったときは「この出来事にはどんな意味があるのだろう」と考えるようにしよう。それだけで苦しみはだいぶ緩和されるはずだ。私もアランに相談したあと完全に苦しみが消えたわけではなかったが、だいぶラクになったのを覚えている。そしてこの思考の練習を続けたおかげで、今では問題を感じてもずいぶんとうまく対処できるようになった。

現実と戦わないこと。肝に銘じてほしい。

滝川 徹(タスク管理の専門家) 1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月29日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。