薄利多売という食品メーカーの特性

 別の食品メーカー関係者はいう。

「山崎製パンは大企業ゆえに従業員数も工場も多いことを踏まえても、10年間で死亡事故4件というのはちょっと多いという印象。気になるのは、かつては工場の従業員が長時間残業を強いられていたという話だ。工場での作業は大きな危険を伴うため、特に働き方改革が叫ばれる現在では、一般的にメーカーは現場従業員の労働時間が長くならないように努めている。長時間の連続勤務になると肉体的な疲労に集中力の欠如が重なり、事故やミスが誘発されるためだ。山崎製パンの工場は24時間制で勤務シフトが組まれているが、過去の死亡事故の発生と長時間労働に因果関係がなかったのかが気になる。

 また、2月の事故についていえば、なぜ安全装置が作動しなかったのか、なぜ誰も緊急停止ボタンを押さなかったのか、もしくは押したものの間に合わなかったのか、会社側がしっかりと検証し、同様の事例が生じないように社内のみならず社外にも公表すべきだ。

 薄利多売という食品メーカーの特性にも改めて目を向けるべきだ。消費者は1個100円程度の安価な価格で美味しいパンを食べられるわけだが、パンの製造には多額の設備投資と多数の人員が必要になり、そのコストを賄うためにメーカーは大量の商品を24時間365日体制でつくり続けなければならない。そうした“製造ラインを絶対に止められない”“ロスを発生させてはいけない”という強いプレッシャーが、山崎製パンにおけるさまざまな不正や事故の背景にはある」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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