誰しも進学や就職、結婚をきっかけに疎遠になってしまった旧友がいるはず。
しかし、そうした昔の友人に自分から連絡をするのはなかなか勇気がいることかもしれません。
実際にカナダ・サイモンフレーザー大学(SFU)は約2500人を対象とした研究で、旧友に連絡することは見ず知らずの人と新たに友人になるのと同じくらい心理的なハードルが高いことが示されました。
私たちには普遍的に、旧友と再び友情を築くことを躊躇する傾向があるようです。
研究の詳細は2024年4月23日付で心理学雑誌『Communications Psychology』に掲載されています。
7割の人は旧友に連絡するのを難しく感じていた
友人の存在は私たちに生きる喜びや人生の意味を与えてくれます。
サイモンフレーザー大学の心理学者で研究主任のラーラ・アクニン(Lara Aknin)氏は「友人との社会的関係は、卒業式や結婚式などの良い時期も、あるいは病気や別れ、トラブルを起こしたときの悪い時期も、常に私たちの助けになってくれる」と話します。
その一方で、出会いがあれば別れもあります。
生涯にわたって友人関係が続く人もいれば、学生時代はあれだけ仲が良かったのに、卒業や就職を機にまったく会わなくなったという友人もいるはずです。
そして何年も会わないうちに連絡を取りづらくなって、ついには疎遠になってしまった友人も少なくないでしょう。
アクニン氏らは今回の研究で、実際にどれくらいの人が旧友に連絡するのを躊躇しているのか、また何が旧友への連絡をしづらくさせているのかを知りたいと考えました。
本調査では延べ2500人ほどの参加者を募り、2022〜2023年にかけて7件の別々の調査を実施しました。
参加者は20代から40代の若年成人を対象としており、かつて親しかった友人の中に疎遠になっている人はいるか、その旧友に対して連絡を取りたいと思うか、連絡を躊躇する理由は何かなどをアンケート調査を用いて調べています。
データ分析の結果、参加者の大多数(90%)に今では連絡を取り合わなくなっている旧友がいることがわかりました。
そのうちの70%は旧友を今でも大切に思っているにも関わらず、「自分から連絡する」という考えには中立的か否定的な立場を取っていたのです。
また別の研究では、参加者に旧友と再び交流したい願望があり、さらに友人の連絡先を知っている状態で、久しぶりのメッセージを作成する時間が与えられた条件でも、実際にメッセージを送信した人は全体のわずか3分の1に留まっていました。
アクニン氏らは、人々が旧友に連絡をすることにこれほど消極的であることに驚きを隠せなかったと話します。
研究の一つによると、参加者たちは旧友に自分から連絡することについて、見ず知らずの人に話しかけて、新たに友情を築くことと同じくらい難しく感じると答えていたといいます。