どんな困難があろうともやり遂げるという強い意志を表す言い回しに「雨が降ろうが槍が降ろうが」というものがある。これは慣用的なものの言い方にすぎないが、雨のように奇妙なものが空から降り注ぐという現象は、世界各地で確認されている。

 ファフロツキーズ(怪雨)と称されるこの現象は、主に空から小魚が大量に降ってきたというような例が特に知られている。こうした”異物”が雨のように降る現象もある一方で、中にはぎょっとするようなものが降り注いだという例も報告されている。

「血の雨が降る」というと、戦闘の場面などで多くの血が流される表現として耳にしたことのある人は多いだろう。だが、血のように真っ赤な雨が降ってきたという例が、過去実際に起こっていたというのである。

 2001年7月25日、インド南部ケーララ州で急な雨が降り注いだ。

 しかし、その雨は誰の目にも明らかなほど真っ赤な雨であり、州一面を赤・ピンクに染めてしまうほどであった。およそ2ヶ月に渡ってこの赤い雨は目撃され、赤以外にも黄や緑、黒の雨の報告されたという。また、これと同様に、2012年11月13日にはスリランカでも赤い雨の報告がなされており、周辺が赤茶色に染まるほどの血のような赤い雨が降り注いだのだというのだ。

 もっと遡ったものでは1928年6月29日のモンゴルにて、抹茶色の雲が空に広がったかと思うと突然赤い雨が降りだし、およそ3時間に渡って降り注いだ雨によって周辺が真っ赤に染まってしまったという。雨は翌日翌々日も降り、4日目にあがったという。

 実際に目にすれば卒倒ものに違いないであろう「血の雨」だが、実はその正体についてはおおよそ判明されているという。

「血の雨」の謎…一面が真っ赤に染まり…世界各地で観測された不気味な現象
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)

 ケーララのケースは、発生当時の分析によって「藻」の影響であることが判った。インド政府科学技術省の指導の下に行なわれた化学分析によれば、赤い雨の降った地域に生息する地衣類の胞子の一種が影響したものであり、それと他の植物や菌類そして苔などの成分などが混じり合った結果、血のように濃度の高い赤色になったのではないかというものだ。

 スリランカのケースにおいても、それがミドリムシの近縁であるケラヒゲムシ属の鞭毛(べんもうちゅう)虫によるものであるとの解析結果もなされており、モンゴルのケースは平原のむき出しになっている赤土が風によって雨雲に取り込まれ、赤い雨を降らせたのではないかと言われている。

 雨が真っ赤に染まったことの正体を探ればなんということはないが、それでもケーララの”血の雨”については、なぜそうした藻が雨雲に取り込まれたかについては今もよく判っておらず謎のままとなっている。一説には、地球外の彗星などがもたらした微生物の芽胞が混入されていたのではないか(パンスペルミア説)とまで唱えられたほどである。

 余談だが、2008年にコロンビア共和国でも「血の雨」が発生したとされているが、この時に細菌学者が調査したところ本物の血液であったという信じられない結果がもたらされたという。情報も少ないため、コロンビアのケースについてはこれ以上詳細は判っていないが、比喩ではなく本当に血の雨が降り注いだのだとすれば、それは果たしてどのような現象だったのだろうか。実に不可解である。

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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