今年6月、アメリカの垂直農業企業80 Acres Farmsの子会社であるテック企業Infinite Acresが、オランダのハーグにある本社に研究センターをオープンする。

今回新たに開設されたフィールドラボとエクスペリエンスセンターは、持続可能な未来の形成においては重要なマイルストーンであり、垂直農業におけるコラボレーションの新たな基準を確立するものだ。

研究センターの設立が提携企業や大学との連携を促進

Infinite Acresのフィールドラボとエクスペリエンスセンターは、ハイテク農業で何十年にもわたって世界をリードしてきたオランダの温室の近くにある。

同施設では、Infinite Acresの研究者や専門家らが、Siemens、Signify、SICK、TTAなどのプロジェクトを直接支援するパートナー企業と共同で作業を行っている。

また、施設は学生研究者にも開放されるようだ。Infinite Acresはワーゲニンゲン大学のClub of 100のメンバーであり、ワーゲニンゲン大学とのコラボレーションをさらに推し進めるとともに、デルフト工科大学やオランダおよびアメリカの他大学との連携も模索している。

研究センター設立の理由と事業との関連

2019年に設立されたInfinite Acresは、園芸技術に精通したオランダ系アメリカ企業である。オランダの園芸技術とアメリカの製造・加工技術を組み合わせ、ハードウェア、ソフトウェア、植物遺伝学の分野で革新を実現している。

これまでInfinite Acresのチームは、最高水準の技術パートナーと80 Acres Farmsが運営する農場を設計、建設、維持するなど、より緊密な協力関係を築く機会を獲得してきた。

Tisha Livingston氏は「革新にはコラボレーションが必要だ」「パートナーを我々の研究センターに迎え入れることで、フィードバックの連鎖に終止符が打たれ、学びが加速し、世界中の農家の利益になる」と述べた。

Infinite Acresは、サプライチェーンを縮小し、食品廃棄物を削減してより少ない資源でより多くの食料を生産することで、垂直農業により持続可能な未来が約束されるとしている。

80 Acres Farmsの室内農場で採用している技術

80 Acres Farmsは、2015年に設立された垂直農業企業で、アメリカのオハイオ州ハミルトンを拠点としている。子会社のInfinite Acresが提供するテクノロジーと分析を用いて、室内農場を運営している。

室内農場では100%再生可能な電力を使用し、1ポンドあたりの生産に必要な水を95%削減することで、同社の農場は消費者に長持ちする無農薬の収穫物を提供。食品廃棄物を減らし、食品安全性の最も高い基準をも上回っている。

消費者は、アメリカ東部の1,500以上の小売店やレストランで同社ブランドのサラダ、サラダキット、ハーブ、マイクログリーン、トマトなど、さまざまな商品を入手することができる。

(文・せな)