日航ジャンボ機UFO遭遇事件は、1986年11月17日にアメリカ合衆国アラスカ州上空で発生したUFO遭遇事件である。日本航空の貨物便1628便が高度16,000メートルほどの上空を飛行中、機長及びクルー数名が光り輝く謎の物体と遭遇、異常接近したというこの出来事は、日本とアメリカでも大々的に報道されて大きな反響を呼んだ。
日本時間午前11時10分ごろ、パリ発のアンカレジ空港経由東京行きの1628便がアラスカ州フェアバンクス上空を飛行中、進行方向左前方の600メートル下方に四角い二つの光が現れたのだという。不審に思った寺内機長たちは、アンカレジ航空管制センターに問い合わせてみたが、地上レーダーでは日航機以外何も映っていなかったということが判明し、この時機長はUFOではないかと思い始めたという。
2機のUFOは「子グマがじゃれ合うよう」な奇妙な動きであったという。およそ7分に渡って平行移動をしていた2機のUFOは、周囲についていた無数のノズルから白色の光を噴出していた。さらに、日航機の前方や上方150~300メートル近くまで瞬間移動し、衝突しかねないほどの異常接近をしてきたという。操縦席は熱も感じるほど昼間のように明るくなり、前方へ移動し姿を消したかと思うと、今度は全く異なる2機の飛行物体が現れたというのである。
新たに現れたUFOは、ジャンボ機の1.5倍から2倍ほど巨大であり、寺内機長は気象用レーダーで確認したところ、金属であれば赤色に反応するはずが緑色に反応したという。高度を1,200メートルほどに下げても追尾を続けていたUFOは、その後アンカレジ北方270キロ地点にて日航機がユナイテッド航空機とすれ違った瞬間に消えてしまったのだ。ここまでおよそ50分もの間、UFOは日航機と並行に飛行し続けており、日航機がアンカレジに到着後、事態を重く見たアメリカ連邦航空局によって事情聴取も行なわれた。
寺内機長の証言では、光を放っていた巨大UFOは大型空母二隻を背中合わせに重ねたような球状の母艦のようであったという。このUFO母艦は、機長の手によってスケッチも描かれたものの、他のクルーたちは確かに謎の飛行物体は目撃したものの発光体にしか見えなかったというのだ。さらに、ユナイテッド航空からはその発光体すら認識されなかったというのである。
この事件は、現役の日本人パイロットによるUFO目撃というショッキングなものであったため、朝日新聞などでも大々的に報じられた。ところが、その後すぐに手のひらを返したかように否定的な報道がなされるようになり、たちまち遭遇事件は世間から忘れ去られていった。それどころか、UFOを目撃したという証言は機長による目の錯覚であると断じられ、騒動の責任を取らされたかの如く彼は地上勤務に移動させられることとなってしまった。
その後、火星や木星あるいは太陽柱などの自然現象の誤認といった否定的論調が多くなされたこの事件は、近年になって新たな展開を見せることとなった。元アメリカ連邦航空局勤務のジョン・キャラハンという人物の証言では、実は地上レーダーでUFOは捉えられており、航空機では到底あり得ない速度で飛行していたということまで把握していたという。
また彼によると、事件後の説明会によって発表された調査資料は、口止めをされて持ち去られてしまったと言い、明らかに政府の隠蔽があったというのだ。彼は持ち去られた資料を個人用として手元に控えてあるということであったが、真偽についてはわかっていないままとなっている。
寺内機長は、否定的な報道がなされて以来証言を公表したことの後悔も感じ、もう関わりたくないと考えていたことも、事件後数十年後のインタビューで判明した。機長は自衛隊での訓練経験も持っており、UFOの存在を盲信するような発言は見られなかったにも拘らず、UFO目撃という一大事件によって一変し苦悩へと突き落とされたかのような仕打ちを受けてしまった。
結局、UFOの正体が何であったのかについては今日も謎のままとなっている。この事件はUFOに限らず、オカルトに関する他の話題にとっての社会的認識のマイナス面を強く知らしめた象徴的な出来事であったとも言えるだろう。
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文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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