巨大な組織を維持するためにJA職員に無理なノルマ

 JAで不祥事が絶えない背景について中央省庁の官僚はいう。

「JAの業務を管轄する監督行政庁がどこなのかが分かりにくく、国や自治体による監視が行き届きにくい。昨年の自爆営業に関する規制は農水省が出したが、各地の農協の共済事業は都道府県、全共連は農水省が監督することになっていてバラバラ。また、農家や個人とのやりとりの窓口はJAとなっているが、バックには中央組織として全中、全農、全共連、農林中金などが存在し、これらの組織の業務を事実上、JAが一手に委託されているようなかっこうになっており、毛並みの違う幅広い業務がJAに集中している。その結果、各地のJA内部で職員に強い負荷やストレスがかかっているのかもしれない。

 また、全国のJAの役員・職員数は20万人近くに上り、そこに全共連や農林中金などが加わったJAグループ全体の職員数は膨大になっているが、組合員である農家の数は減少傾向であり、巨大な組織を維持するためにJAの現場職員に無理なノルマが課されているのでは」

 また、金融業界関係者はいう。

「JAの貯金口座や共済、ローンといった金融商品は基本的には組合員である農家を対象としており、そもそもパイが限られている。農家以外の個人も利用することは可能だが、一般の人でJAの貯金や共済、ローンに加入しようと考える人はほとんどいない。そうしたなかでJAや全共連といった大きな組織を維持していくために、非現実的なノルマが職員に課されているのでは。JAの業務は金融に限らず、農業技術指導をはじめとする農家の支援や農畜産物の流通・販売など幅広く、職員全員が金融の業務や知識に明るいというわけではなく、ストレスやノウハウ不足といった点が、自爆営業や横領、無断契約・解約といった不祥事を生んでいる面もあるのでは。もっとも、ここまで不正が多いとなると、JAにお金を預けるのは危険な行為だという認識を持ったほうが無難かもしれない」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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