あるNPOの総会に出席している時でした。過年度の決算と次年度の予算承認があったのですが、ふと目に留まったのが過年度の利息収入。現金資産4億円超に対して利息が7000円強。私は質問させていただきました。「これは間違いか?それとも仮に事実だとしたらあまりにも投資に対する感性が足りないのではないか」と。たぶん、虚を突かれたのでしょう。壇上の担当者は「監査人が承認しているので」と答えます。そこで私は「では監査人に伺います。本当にあっていますか?」と。

metamorworks/iStock

私は善人ですので200人以上いる前でそれ以上追求しませんでした。その代わり、会議が終わると真っすぐに監査人のところに向かい、直接話をしました。「これ、間違いですよね?」と。理由は想像した通りで経理上の表現のエラー(利息の未収収益計上を怠っていたこと)なのですがいずれにせよ少額の話です。私の本来言いたいことは「もう少し、投資の感性を持ちましょうよ」ということです。

ではなぜ、投資ができないのでしょうか?これは至極簡単な答えです。NPOゆえに誰も頑張るつもりもないし、リスクも取りたくないのです。もしも自分のお金なら頑張って運用しようとするでしょう。しかし、NPOゆえにお金を扱う担当者もプロじゃないのです。経理処理だって現金主義でやっているとはいえ、期末だけは未収未払いを計上するべきで、経理の基本的処理すらできないのです。

家計のお金の場合、かつてリスクをとるのを嫌ったのは家庭の大蔵大臣である奥様の場合が多かったかと思います。「私は10円でも安いものを買うために自転車で駆けずり回っているのに何であなた、株で〇万円も損しているのよ。もったいない」と。株は売らなければ実現損にならないのですが、購入金額より下回っていると大蔵大臣はカッカするのであります。これが逆で〇万円儲かっていると「あなた、今日はビール2本飲んでいいわよ」になるのですが。