牛丼チェーン「松屋」が、根強いファンを獲得している「松屋ビーフカレー」の販売を終了させることがわかり、SNS上では嘆きの声が相次いでいる。代わりに16日から「オリジナルチキンカレー」をレギュラーメニューとして販売するが、なぜ松屋は一部から高い人気を誇るビーフカレーの販売をやめるのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。
松屋フーズホールディングス(HD)は新型コロナウイルス感染症拡大や牛肉価格の高騰などを受けて2021~22年3月期は2期連続で営業赤字となったが、その後は業績を回復させ、23年3月期以降は営業黒字が続いている。店舗数ベースでは「すき家」「吉野家」に次ぐ牛丼チェーン3位で1045店舗(6月現在)。主力メニューの「牛丼 並盛」(松屋は「牛めし」)の価格を比較してみると、松屋は400円、吉野家は468円、すき家は430円となっており、大手牛丼チェーン3社のなかでもっとも安い。
一方、昨年以降は1000円超え、1000円近いメニューを相次いで投入するなど、その「高価格路線」も話題に。昨年11月に期間限定で発売された「ビーフ100%ハンバーグ定食」の各種メニューが軒並み1000円を超え、その後も、期間限定で「ビーフシチュー定食」(990円)、「ブラウンソースチーズハンバーグ定食」(990円)、「シュクメルリ鍋定食」(930円)、「チーズシャリアピンソースハンバーグ定食」(1050円)などを相次いで投入してきた。
「カレーの松屋」という看板を捨てて路線変更?
そんな松屋が強みを持つメニューといえばカレーだ。松屋のカレーは2000年には290円で販売されていたが、この20年の間に徐々に値上がり。22年5月の価格改定時には「オリジナルカレー」の価格は480円のまま据え置かれたものの、昨年1月には「オリジナルカレー」の販売が終了となる一方で、終売となっていた「創業ビーフカレー」をリニューアルするかたちで「松屋ビーフカレー」を680円で発売。松屋のカレーメニューの最低価格が一気に200円も上がることになり、事実上の値上げと受け止める向きも多かった。そして昨年8月には「松屋ビーフカレー」が100円の値下げとともにリニューアルされた。また、年1回の期間限定販売で人気が高かった『ごろごろ煮込みチキンカレー』を22年5月に突然、レギュラーメニュー化したものの、販売的には期待外れの結果となり同年12月にレギュラー販売を終了させたことも一部で話題となった。
松屋がビーフカレーの販売を終了させる理由について、外食チェーン関係者はいう。
「もともと『松屋ビーフカレー』は独特のスパイシーさと油っぽさ、辛さ、ホロホロのビーフがウリだったが、昨年のリニューアルによってこうした特徴が薄れてマイルドなテイストになった。加えて、形が残ったビーフの量が減ったこともあり、ファンが離れて注文が減っていた可能性は考えられる。かつての『ごろごろ煮込みチキンカレー』はゴロっとしたチキンが贅沢に入っていたが、新たに発売される『オリジナルチキンカレー』は写真を見る限りチキンの量は少なく、サイズも小さい。個性がなく“ただのカレー”という印象で、それほど力を入れているメニューとは考えにくい。松屋といえば牛丼チェーンのなかでカレーメニューに強みを持つ点が特徴だったが、『カレーの松屋』という看板を捨てて路線変更した感がある」
別の外食チェーン関係者はいう。
「牛肉が高騰してビーフカレーでは利益が出にくくなったため、鶏肉に切り替えたという面もあるのでは。とりあえずカレーを求める顧客のニーズに応えるためレギュラーメニューでオーソドックスなカレーを提供しつつ、期間限定で定期的にさまざまなオリジナリティーのあるカレーを投入していく戦略かもしれない。カレージャンルで高いポテンシャルを持っている松屋だけに、今後魅力的なカレーを提供してくれることに期待したい」
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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