■“マルコーニ陰謀論”の闇が深まる

 アシュハド・シャリフの“自殺”に続いて、マルコーニの生化学部門で働いていたシャニ・ウォーレンという26歳の女性秘書の溺死体が湖畔で発見された。

 遺体は後ろ手で縛られ、両脚も閉じた状態で巻かれ、口には猿轡がはめられていた。驚いたことに警察はここでも彼女の死は自殺であるとして早々に処理してしまったのである。

 その後、年が明けて1987年1月にイングランド東部のエセックス郡の自宅で、同社のコンピュータ設計および通信の専門家であるリチャード・ピューが足を縛り、頭にビニール袋をかぶり、首にロープを巻いて死んでいるのが発見された。警察はこの彼の死も自殺であるとしている。

 さらに不審死は続き、マルコーニの55歳のソフトウェアエンジニアであるアリスター・ベックマンは小屋で電線に触れて感電死した状態で発見されたのだが、同じくこれもまた警察に自殺と片づけられたのだ。

 1987年3月、マルコーニで軍事通信システムの設計に取り組んでいた38歳のコンピュータ科学者、デイビッド・サンズは、ガソリン缶を積んだ車に乗って営業時間外のレストランに突っ込み、大火災の後に焼死体で発見された。これもまた警察によれば自殺ということである。

 死亡事件ではないケースとしては、1987年1月にマルコーニの水中電子工学研究者であるアバター・シン・ギダが不可解な失踪を遂げていたのだが、その数カ月後にフランスで保護された一件もある。どうして失踪したのか、どうやってフランスに来たのか、当人はこの間の記憶がスッポリ抜け落ちているという。

 こうした事件のすべてについて、マルコーニは沈黙を守っており、せいぜいは「偶然であり騒ぎ過ぎである」とメディアを批判するに留まっている。

 当時の国防調達大臣であったトレフガルン卿は「全員が防衛分野で働いているコンピューター科学者だったのは奇妙だと思うが、関係性はない」との見解を表明している。

【未解決】冷戦下の軍事企業で不審死が連発「マルコーニ陰謀論」の闇! 闇に葬られた“タブー案件”徹底解説
(画像=画像は「Unsplash」より、『TOCANA』より 引用)

 陰謀を疑う者からは、暗殺や隠蔽工作の可能性だけでなく、UFOやエイリアン技術のリバースエンジニアリングに関与しているという説もあり、“マルコーニ陰謀論”の闇が深まった。しかしそこから一歩進んで疑惑を追及しようとする者はいなかった。

 マルコーニ・システムズは最終的に他の企業に吸収されて解散し、こうした数々の謎を残したまま世間から姿を消した。これらの不審死について究明しようとする者は結局のところ誰も現れず、こうして今、完全に忘れ去られようとしているのである。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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