問われる、選挙特番を放送する意義

 テレビ局社員はいう。

「大きな選挙があると投開票当日に各局はこぞって選挙特番を放送するが、落選した人に質問する項目というのは『落選した理由』と『選挙戦を振り返ってどうだったか』という2つくらいで、もう選挙戦は終わったので公約の内容について具体的に聞いても仕方がないし、意外に“聞くことがない”という現実がある。なので結局、腑抜けな質問ばかりになってしまう。局アナウンサーがする質問の内容は大枠はスタッフが事前に作成し、定型フォーマット化しており、真新しい質問などは出てこない。ゲスト出演する識者やタレントの質問は本人が考えるが、複数いる候補者の公約を全部、事前に読み込んでいるわけではないので、あいまいな質問が目立つことになる。また、各局に割り振られている時間は限られており、“聞かなければならないこと”だけ聞いて終わってしまうというパターンになりがち。

 こうした局側の事情があるとはいえ、視聴者が『無意味な質問しかしないのに、なぜわざわざ選挙特番を放送するのか』と疑問を持つのは当然だろうが、テレビ局としても『他局もやっているからウチもやる』『今までやってきたので、今さらやめられない』という理由で放送しているにすぎない。多大な労力とコストをかけてまで、やり続ける必要があるのかと聞かれれば、必要ないかもしれない。ただ、テレビ局はバラエティやドラマなどさまざまなジャンルを扱うものの、やはり政治や行政をチェックする報道機関という性格が強く、特に国政選挙があれば特番をやるべきという考え方も成り立つので、テレビ局としてもやめるわけにはいかないという事情もあるだろう」

 全国紙記者はいう。

「“腑抜けた質問”という点ではテレビ局に限らず新聞など他メディアも同じで、開票結果が出た後に行われる候補者の事務所での合同記者会見では、鋭い質問というのは出ない。一方、落選した候補者は疲労と落胆が重なり、インタビューで苛立ちを隠せなかったり、投げやりな応答をするケースもしばしばみられる。日テレ番組での石丸氏と古市氏のやりとりについていえば、古市氏の質問は何が聞きたいのかよくわからない内容ではあったものの、今後国政に進出する可能性もある石丸氏のキャラクターをさらけ出させたという意味では、良い質問だったといえるのではないか」

提供元・Business Journal

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