休憩を戦略的に使う
「もし早く終わったらどうするの?」と不安に思った人もいるかもしれません。その場合は、バックアッププランをもっておけば大丈夫です。
私が用意しているパックアッププランは2つあります。 一つは休憩をバッファ(調整要素)として使うことです。2時間のセミナーで、90分の分量で話を考えているとします。
実際にセミナーで話をしている時、思ったより早く終わってしまいそうと感じたら、私の場合は途中で休憩を入れるようにしています。たとえば1時間を過ぎたあたりで「ここで一回休憩を入れましょう」と提案すればいいのです。
そこで10分〜15分程度の休憩を取る。もしくはやや長めに20分程度取って、その間に受講生と雑談してもいいわけです。こうすれば、時間を効果的に調整することができます。ぜひ休憩をバッファとして活用するようにしてください。
もう一つは「万が一、時間が余ったらこういう話をしよう」と事前に小ネタを用意しておくことです。時間が余ったら話せばいい。そんなプラスアルファの位置づけのネタです。時間が余ったら話せばいいし、余らなかったら話さなくていい。こうした小ネタを準備しておけば、万が一、時間が余っても慌てずに済みます。
「ワーク」の時間を取ることの意味また、セミナーで質問を掲示して、それについて受講者に自分なりの答えを考えてもらう「ワーク」の時間を入れることも有効です。
たとえば「理想のライフスタイル」というテーマでセミナーをやり、途中でワークをしましょうと受講者に提案します。10年後に達成したいことはなんですか?」「皆さんにとって理想の1日の過ごし方は?」など、質問を受講者に与えて「10分時間を差しあげますので考えてみてください」と伝えます。
時間は質問によりますが、私の場合は短いと5分、長くても10分くらいです。あまり長いと受講者も飽きてしまうので、ワークの時間は短いほうがいい──私はそう考えています。
なぜこれが大切なのか。それは普段、みんな忙しいのであらためて理想の働き方や目標など、人生において大切なことをじっくり考える機会・時間がないからです。
たとえばキャリアについて、10年後自分はどんな働き方をしたいのかといったことを日頃から考えている人は多くありません。しかしゴールがぼんやりとでも見えていなければ、そこにたどりつくことはできません。自分が望む働き方を手に入れたいなら、まずは自分が目指すゴール・目標がなんなのか、おぼろげながらも明確にすることが大切なのです。
日常では忙しくてそうした時間が取れない人がほとんどですが、セミナーであれば、まとまった時間を参加者は事前に確保しています。その時間の中でなら、じっくり考える時間を取ることができるわけです。
だからこそ、セミナーの時間を使って日頃できない、大切なことを考える時間を提供してあげる。これが大切だと私は考えています。
ワークの時間は講師側にもメリットがあるまた、ワークの時間を取ることは講師側にもメリットがあります。一つは休憩と同じようにセミナーの時間を調整するバッファになることです。
たとえば時間が余りそうならワークの時間を多少多めに取ってもいいし、逆ならワークの時間を省略してもいいわけです(もちろん、これはあまり良くないケースです)。もう一つは、受講者がワークをしている最中、講師も少し休憩ができることです(笑)。
半分冗談ですが、受講者がワークをしている最中にセミナーの構成を再度考えたり、説明不足なところはないか。それまでの講義をふりかえる時間を確保することができるのは、大きなメリットになります。
ワークを入れると、このように受講者だけでなく講師にもメリットがあります。ぜひ取り入れるようにしてみてください。
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滝川 徹(時短コンサルタント) 1982年東京生まれ。Yahoo!ニュース・アゴラで執筆記事が多数掲載される現役会社員・時短コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけにタスク管理を習得。2014年に組織の残業を削減した取り組みで全国表彰。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。時間管理をテーマに2018年に順天堂大学で講演を行うなど、セミナー講師としても活動。受講者は延べ1,000名以上。月4時間だけ働くスタイルで4年間で500万円の収入を得る。著書に『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング)』『ちょっとしたスキルがお金に変わる「副業講師」で月10万円無理なく稼ぐ方法(日本実業出版社)』他。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年6月25日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。