以前にもご案内しましたが、順天堂大学の「MEdit Lab」というプロジェクトにお招きいただいて、表題のとおり今月20日のシンポジウムに登壇します。イベントのタイトルはずばり、「医学をみんなでゲームする2」。

医学と社会の接点をどう作っていくかを、専門家と非専門家が協力しあって模索するプロジェクトらしく、ウェブサイトでは拙著2冊について、温かい書評を寄せてくださいました。イベントへのお招きとあわせて、御礼申し上げます。

それで、改めて自分とゲームのつながりを振り返ってみたんですけど、共著『ボードゲームで社会が変わる』の企画が立ちあがったのは、2019年の春。編集者さんと「どんなゲームを採り上げるか?」を話しあいながら進める中で、テストプレイまで行った作品にはこんなのがありました。

協力ゲーム『グリッズルド:友情は戦争より強し?』。

上記のレビューサイトの紹介がよくできていますが、テーマはずばり、第一次世界大戦の塹壕戦。輪番制で分隊長(リーダー)を担当し、その指揮の下に全員が協力して生還をめざす……のですが、これがまさに息詰まるプレイ感でして。

1ターンにカードを多く消費するほど、故郷への帰還が近づくので、分隊長としてはなるべく多く手札を配り、多く使わせたい。ところが6種類ある戦場での困難(砲撃とか豪雨とか)のうち、どれか1つでもダブり過ぎるとミッションは失敗し、余った手札は全部ダメージになるので、欲をかくと一瞬で部隊が全滅――生還どころか故郷に慰霊碑が建ってしまう(つまりゲームオーバー)。

しかも徐々に戦傷者が増え(=ダメージカードを自分の前に置く)、思いどおりにカードを出すことさえできなくなってゆく。救護のコーヒーを贈るオプションで、ダメージカードは無効にできるけど、ここでも「誰がいちばんピンチか?」についてメンバーの息が合わないと、どの人も回復しないまま次のミッションが来てしまう。

ボードゲーマーの用語でいうと、協力型の「洗面器ゲーム」になります。つまり、どれだけ我慢できるかを味わう作品。遊びだから楽しいけど、リアルな毎日がこれになったらと思うと、恐ろしいですな。