中世前期フランスの伝説の剣「デュランダル」が跡形もなく消え去った――。いったい誰が、どのようにして、何の目的で持ち去ったのか。
■忽然と消えた魔剣「デュランダル」
南フランスのロカマドゥール村の岩に1300年もの間埋め込まれていた伝説の剣「デュランダル(Durandal)」が謎の失踪を遂げた。デュランダルは村の聖域に隣接する崖の岩壁に、地面から9.75メートルの高さで突き刺さり、しっかりと鎖で固定されていた。観光客に人気のスポットだった崖の剣の消失は地元住民を悲嘆に暮れさせ、当局を困惑させている。
伝説によると、デュランダルは天使からカール大帝に贈られ、後に大帝の甥で伝説の騎士であるローランに託された。
11世紀の叙事詩「ローランの歌」の詩では、デュランダルの並外れた鋭さと頑丈さが描写されており、岩も楽々と切り裂くことができるとされている。また聖ペテロの歯、聖バジルの血、聖ドニの髪の毛が入っているとも言われている。
伝説によると、ローランがロンスヴォー峠の戦いで瀕死の状態になった際、敵の手に渡らないようにデュランダルを破壊しようとしたのだが、壊すことができなかったため、彼はそれを谷に投げ込んだ。するとデュランダルは何マイルも飛んで、ここロカマドゥールの崖に突き刺さったといわれている。
村は長い間、この伝説の遺物を誇りにしており、それは観光の目玉であり、村の豊かな遺産の象徴となっている。デュランダルが突然、理由もなく持ち去られたことで、村は貴重な遺物を失っただけでなく、それがどのようにして持ち去られたのかという謎にも惑わされている。
警察はデュランダルの盗難事件の捜査を開始したが、現時点では手がかりも容疑者もおらず、地元当局はこの歴史的遺物の回収に役立つ情報を求めている。
このデュランダル消失事件は、地元住民や歴史家の間でもさまざまな憶測や説を巻き起こしている。計画的な強盗だったのではないかと言う者もいれば、伝説の力を信じた誰かが剣を盗んだのではないかと考える者もいる。動機が何であれ、デュランダルの消失はロカマドゥールの文化的、歴史的アイデンティティにとって大きな打撃であることは間違いない。
ロカマドゥールとその住民は、豊かな遺産とローランの剣の伝説を尊重し続け、近い将来、デュランダルがこの村に戻ってくることを願ってやまない。時空を超えて投げ込まれた魔剣が再びこの崖に突き刺さる日がやってくるのだろうか。
参考:「Ancient Origins」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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