深くコミュニケーションを行う能力があるのかを問う

 問題の内容から読み取れる京大の意図とは何か。

「あくまで推察ですが、京大は、受験者がこの能力測定考査で解答した内容について、口頭試問で深く質問していこうと考えているのではないでしょうか。たとえば大問2のコイルの問題は、ラジオの受信機で使われている理論に関係しており、大問3の電磁誘導の問題はIH調理器や交通ICカードで使われている理論に関係しています。ですので、ペーパーテストである能力測定考査と口頭試問を通じて、物理の公式を含めた基本をしっかりと理解し、それを現実の自然現象と関連づけて深くコミュニケーションを行う能力があるのかを問うていると感じます」(為近氏)

 ちなみに為近氏によれば、20~30年ほど前と比較して医学部を志望する女子学生は増えている一方、理工系学部を志望する女子学生はいまだに少ない印象があるというが、当の女子受験生は女性枠採用についてどのような捉え方をしているのか。予備校関係者はいう。

「理工系学部を志望する女子受験生たちの話を聞く限り、『入学後に周囲から女子枠で入学したと思われたくない』『就職活動で女子枠での入学かどうかを聞かれそう』『男女差別だと感じる』といった否定的な声が多く、あまり歓迎されていないという印象があります。また、私立大学と比べて、国公立大学の理工系学部は女子向けの設備整備が遅れており、また女子学生の数が少ないため『周囲から、女性だから進級できた、ゼミに入れたという目で見られたくない』という理由により、女子受験生から不人気な面はいまだに強いです」

(文=Business Journal編集部、協力=為近和彦/代々木ゼミナール物理科講師)

提供元・Business Journal

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