カナダ発のITリサーチおよびアドバイザリー会社のInfo-Tech Research Group(インフォテック・リサーチ・グループ)は、同社のウェブサイトにある調査コンテンツを会員が調べやすくなるよう、生成AI搭載のチャットボット「ITアシスタント」を近日リリースすると6月に発表した。

知りたい情報に関するキーワードなどをチャットボットに伝えるだけで関連する情報を探してくれるというもので、検索がシームレスかつ効率的に行えるようになる。現在、最終的な微調整やストレステストのために一部のメンバーに限定リリースしているという。

コンテンツ活用を促進

Image Credits:Info-Tech Research Group

Info-TechはIT業界の動向や技術の活用例、分析方法など、業界関係者に知見を提供している。今回のチャットボット導入は、そうしたコンテンツをさらに活用して経営などに役立ててもらうことを目的としている。

ITアシスタントは直感的な会話型のインターフェースで、会員が探しているコンテンツを正確に探し出したり、関連するものを見つけたりできるという。Info-Techの最高研究責任者(CRO)の Gord Harrison氏は「ITアシスタントの導入により、会員が必要とする研究コンテンツに素早くアクセスできるようになる。(中略)ひいては、会員の問題解決に貢献し、戦略的目標の達成をサポートできる」と話す。

データ処理と訓練を同時進行

ITアシスタントには生成言語モデルが組み込まれており、クエリを受け取ると、まずコンテンツライブラリーから関連する情報を取得する。この情報はその後、生成言語モデルの訓練に使用され、より正確で関連性の高い情報を拾えるようになる。

Info-Techの情報最高責任者(CIO)のWilliam Russell氏によると、生成AIと検索拡張生成(RAG)を統合することで、ITアシスタントは高度なデータ処理とリアルタイムでの訓練を行うことができるという。「こうしたアプローチにより、新しい情報やユーザーの行動に基づいてレスポンスを絶えず微調整することができ、精度を高められる」とRussell氏は話す。

9月に年次カンファレンス

Info-Techは以前発表した報告書「テックトレンド2024」の中で、事業のイノベーションと効率アップを進める上でAIと機械学習が極めて重要な原動力となると強調した。今回の自社ウェブサイトでのITアシスタントの導入は、この指摘をまさに地でいくものだ。

ちなみに、ITをめぐる今後の計画についてInfo-Techが業界関係者を対象に行った調査の初期結果でも、回答者534人の37%が今年、生成AI機能に投資済みまたは投資予定だとしている。さらに33%が2025年に投資を計画しており、15%は2025年以降の投資を視野に入れている。加えて、回答者403人のうち72%は、生成AIが組織に好影響を与えると考えている。

Info-Techは今年9月17日〜19日に年次イベントのカンファレンスを米ラスベガスで開催する。企業の最高情報責任者やIT責任者、業界専門家らが出席し、最新の動向や研究などが報告される見込みだ。

(文・Mizoguchi)