その時代の文明にはそぐわない、当時の技術力では説明ができない遺物のことをオーパーツと呼びます。
人類はこれまでに数多くのオーパーツを発見してきましたが、中でも特に有名なのが「アンティキティラ島の機械」です。
これは古代ギリシャ時代の遺物であり、長年の研究から天体運行を計算するためのツールであることが確実視されています。
さらに今回、英グラスゴー大学(UofG)の最新研究により、これまで知られていなかった用途が明らかになってきました。
それによると、この機械は354日周期の太陰暦カレンダーとして使われていた可能性が高いようなのです。
それでは、アンティキティラ島の機械の謎を一緒に追ってみましょう。
研究の詳細は2024年6月27日付で学術誌『Horological Journal』(PDF)に掲載されています。
目次
- 当時として「1000年先を行く技術力」が詰め込まれていた!
- 新たな用途が発覚!1年のカレンダーは「太陰暦」を採用していた?
当時として「1000年先を行く技術力」が詰め込まれていた!
アンティキティラ島の機械が見つかったのは1901年のこと。
地中海にあるアンティキティラ島の近海に沈んでいた沈没船から回収されたのです。
発見された時点で機械の大部分が錆びており、部品もおそらく全体の3分の2が欠落した状態にありました。
加えて、無事に残っていた部分も80以上の断片に割れてしまっており、復元はかなり骨の折れる作業でした。
しかし研究者たちの努力により、アンティキティラ島の機械は元々、靴箱サイズの長方形をしていたことが特定されています。
発見されたばかりの頃は、まだその機械の複雑さや重要性は気づかれていませんでした。
ところが数十年にわたる研究の末、人類史上の驚くべき遺物であることが明らかになってきたのです。
まず、発見場所や機械に記された文字から古代ギリシャで製作されたことは間違いなく、その年代は紀元前1〜3世紀の間であると推定されています。
今から2000年以上も前のことです。
さらに研究者たちが驚いたのは、あまりに精巧な機械じかけの造りでした。
細かなパーツが小さな歯車を介して絶妙なバランスで動く仕組みになっていたのです。
専門家によれば、これと同じレベルの複雑さを持った機械はそれから1000年の時を経るまで現れていないという。
こうして復元されたアンティキティラ島の機械は現在、天体運行を計算するために作られた手回し式の太陽系儀であることがわかっています。
英カーディフ大学(Cardiff University)のマイケル・エドマンド(Michael Edmunds)氏は、その機械じかけの精巧さについてこう評しています。
「この装置はこの種のものとしては抜きん出ている。デザインは美しく、天文学から見ても非常に正確に出来ている。機械のつくりにはただ驚嘆させられるばかりだ。
これを作った者は恐ろしく丁寧な仕事をした。歴史的にまた希少価値から見て、私はこの機械はモナ・リザよりも価値があるといわねばならない」
この発見から、古代ギリシャ文明は研究者たちが考えていたよりも遥かに優れた技術力を持っていたことが明らかになってきました。
では具体的に、アンティキティラ島の機械はどのように使われたのでしょうか?