MFディエゴ・ピトゥカ(元鹿島アントラーズ)、MFジョアン・シミッチ(元名古屋グランパス、川崎フロンターレ)らを擁するブラジル2部サントス。MFノナトの清水エスパルス移籍が決定的と報じられる中、ここに来てファビオ・カリーレ監督解任の可能性が浮上。同監督の招へいを巡っては、V・ファーレン長崎から二重契約問題で訴えられている。
サントスは昨季のブラジル1部リーグを17位で終え、クラブ史上初めて2部降格。シーズン終了後にシミッチやピトゥカを移籍金ゼロで獲得したほか、昨年12月に長崎と契約更新したカリーレ監督の“強奪”で物議を醸している。
元Jリーガー2選手が好調であるだけに、今季のサンパウロ州選手権で準優勝を果たしたサントスだが、ブラジル2部リーグではここまで6勝1分5敗と、上位独走とはならず。直近5試合で1勝1分3敗と苦戦を強いられ、1部昇格圏外の5位に甘んじている。
そんな中、米メディア『ESPN』は今月27日に「サントスはカリーレ監督を解任できるのだろうか?」という見出しのもと、同クラブの現状を特集。記事では「サントス幹部とカリーレ監督の関係は以前ほど近いものではない。指揮官は幹部からの支持を得られなくなった」と綴られているが、関係悪化の原因に直近のリーグ戦における成績があるとのこと。サントスの契約は今年12月まで残っており、今季途中で解任の場合には200万レアル(約5800万円)の違約金が発生するという。
カリーレ監督解任の可能性が報じられる一方、長崎はすでに同監督や複数のコーチに関する二重契約問題を受けて国際サッカー連盟(FIFA)に提訴。サントスの専門サイト『Diario Do Peixe』は今年1月に「カリーレ監督に対する違約金は150万ドル(約2億2200万円)、コーチについては一人当たり100万ドル(約1億4800万円)。総額で450万ドル(約6億6400万円)だ」と伝えていた。
くわえて、サントスは2019年2月にロシア1部クラスノダールからペルー代表MFクリスティアン・クエバを獲得しているが、同選手の移籍金を支払っていない模様。未払金は2000万レアル(約6億円)とみられるだけに、総額10億円以上の支払いに迫られる可能性もある。
なおカリーレ監督は今年3月、ブラジルメディア『SporTV』のインタビューに応じた際、長崎のFIFA提訴に言及。「両クラブの幹部は、10日間にわたり交渉した。だから、サントスは(私と長崎の)契約内容を把握しているはずだ。私も一部の会議に出席した。だが会議出席後、サントスと私の代理人はトレーニングのことについて心配するよう促してきたんだ。その時の書類も手元にある」とクラブの対応に問題があったという認識を示すと、「この問題が、短期間ですべて解説することを願うばかりだ。違約金は存在するし、誰かが支払わなければならない。その違約金の支払いが私でないことを願っている」と述べていた。