国内外から登山客が集まる富士山では、夜間の‟弾丸登山”や軽装での登山などをめぐるルールやマナー、山頂付近では過度な混雑がみられることなどの問題が取りざたされています。

それぞれ登山ルートを擁する静岡県・山梨県によって、問題解決に向けた「入山ルール」が実施されます。

静岡県ルートでは?

富士宮・御殿場・須走と3つの登山ルートが設けられている静岡県。それらのルートから登山する場合、静岡県富士登山事前登録システムへの登山情報の事前登録と、登山のルール・マナーの事前学習(eラーニング)が求められるようになりました。

事前登録と学習を終えた人は、QRコードを受け取れるといい、現地でスタッフの確認を経てリストバンドが配布されるそうです。対象は山頂を目指す人のみならず、宝永山遊歩道や自然休養林の散策をする人も含まれます。

また、16時以降に登山開始する場合、山小屋の宿泊予約をしていない人は「自粛するように」との呼びかけが行われています。入山料・通行料については、定められておらず、従来通り富士山保全協力金(1,000円)を任意で募っているそうです。

山梨県ルートでの規制は?


富士登山道吉田ルート

山梨県側から山頂を目指す吉田ルート。7月1日(月)から、5合目の登山道入口にゲートが設けられ、登下山道の通行料(2,000円)が徴収されることが報道されました。

また、16時から翌午前3時の時間帯と登山者が1日4,000人を超えるときには登下山道が閉鎖されます。

事前通行予約システムも導入され、通行料はシステム登録の際に決済できるといいます。山小屋の宿泊予約があれば、事前予約がなくても登山は可能。しかし、通行料の負担は免れないということです。

吉田ルートでも従来通り富士山保全協力金(1,000円/任意)を募っています。

GPS装置での実証実験を開始

新たな規制を導入する吉田ルートでは、山岳遭難対策システム「ココヘリ」を用いた実証実験を山梨県とココヘリ事業者であるAUTHENTIC JAPAN株式会社が共同で実施します。

ココヘリは山岳遭難者の位置を特定することで、民間提携ヘリコプターやドローン、人による捜索時間を大幅に短縮できるというサービスです。

この実証実験では、吉田ルートからの登山者にココヘリの端末を無償で貸与。富士山5合目から山頂までのエリアにいる登山者の位置情報を取得して、その速度や滞留状況などの人流データを日別・時間帯別に把握しようという試みです。

2024年7月1日(月)から9月10日(火)の期間に、計500個の端末を用意しているそうです。

<参照>

富士登山オフィシャルサイト

「ココヘリ」と山梨県、富士山で実証実験を開始