ランクルとの関係で見えてくること
日本でのハイエースの未来を占う上で、別の視点で注目されるのが「ランクル」の存在だ。最近、「ランクル250(ニーゴーマル)」を筆頭に、各種ランドクルーザーと触れ合う機会がちょくちょくあり、そんなふうに思う。よく考えてみれば、それは当然のことだと言える。ハイエースもランクルも、製品企画・設計・製造においてトヨタ車体の存在が大きいからだ。
改めてだが、トヨタ車体はトヨタグループの中核企業で、ハイエース、ランクルのほか、アルファード/ヴェルファイアやノア/ヴォクシーを担当している。また、トヨタは現在、モデルのカテゴリーや仕向地に応じたカンパニー制を敷いているが、そのうちCV(コマーシャルヴィークル:商用車)カンパニーの一部事業をトヨタからトヨタ車体に移管する動きが進んだ。これは市場のニーズに応じて、製品開発のリードタイムを短くすることが目的だ。
そうした中、ランクルは直近で、ランクル史上最大級の変革があった。「プラド(150系)」のフルモデルチェンジのタイミングで、単なる新型プラドという発想ではなく、「ランドクルーザー群」というランクルブランドの再構築を図ったのだ。
具体的には、70系をヘビィデューティーをアップデートして日本市場では再々販モデルとして登場。ステーションワゴンである300系は当然ながら継続した。そして最大の話題は「250」だ。トヨタは「ライトデューティーという考え方はなくした」とし、250によってランクルを原点回帰するとまで言い切る。
その250が搭載するパワーユニットは、グローバルで合計5パターンあり、日本市場向けには2.8Lディーゼル(8AT)と2.7Lガソリンを採用。これらは、プラド(150系)から継承したほか、北米タンドラで機能性を検証した1モーターシステムを積む2.4Lターボハイブリッドを追って導入することが決まっている。また、70では新たに2.8Lディーゼル(6AT)を採用した。
この250と70用の2.8Lディーゼル「1GD」は、コンちゃんにも採用されているエンジンだ。当然、250や70とはクルマとしての使用条件は異なるため、エンジン制御のセッティングにも違いがある。いずれにしても、250と70(日本での再々販)は当面存続するため、そして各種ランクルのモデルライフがとても長いこともあり、「1GD」の製造は維持されることになる。
だからといって、ハイエース200系そのものが、当面維持されるとは言い切れない。また、ランクル用の各種ハイブリッドをハイエース200系に移植するのは、ユーザー層から考えて難しいだろう。ランクル250の開発がひと段落したこのタイミングで、トヨタ車体がハイエース200系に対する「次の一手」に着手しても不思議ではない。
それは、再びの一部改良なのか、200系の20周年記念モデルなのか、それとも……。ハイエースの生まれ故郷、岐阜県各務原市で「なんらの動き」があるかもしれない。
フォト=桃田健史 K.Momota
文・桃田健史/提供元・CARSMEET WEB
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