富裕層たちの中には、銀行口座を複数持っている人がいる。しかも作りっぱなしにせず、有効に活用できている。

そこには一般人が取り入れるべき管理の「術」があることを筆者は知っている。口座を複数持った場合の管理のコツと合わせて解説しよう。

富裕層はお金の管理にこだわっている

口座を複数持っているお金持ちは「お金の流れ」を見える化し、収入と支出の状況などを管理しやすくしている。では銀行口座を複数持つ場合、いくつ持つのが“正解”なのだろうか。

結論から言えば、それは個々人によって異なる。ここでは、口座を4つ持つ場合と5つ持つ場合のお金持ちの使い分けの具体例を紹介する。

口座を4つ:収入用、生活費用、貯蓄用、投資用

まず、お金持ちが4つの口座を使い分けるケースを見てみよう。1つの口座を「収入用」とし、そこから「生活費用」「貯蓄用」「投資用」の各口座にお金を振り分ける。

例えば、月の生活費を事前に決めて生活費用の口座に振り込み、その口座に入っている金額以上は使わないようにすれば、計画以上の支出を防げる。また、貯金を積み立てる場合、「貯蓄用」口座を独立させておくと便利だ。

口座を5つ以上:「出ていくお金」を細かく管理

口座を5つ持っているお金持ちは出ていくお金を細かく分け、それぞれの費用が引き落とされる口座を分けているケースが多い。「収入用」「貯蓄用」「投資用」のほか、「家賃の引き落とし用」「光熱費の引き落とし用」という具合に別口座を持っているというイメージだ。

ただし、近年はインターネット上で口座の引き落とし情報を簡単に確認できることもあり、引き落とし口座を別々に持つことに煩雑さを感じる人も少なくない。

複数口座を管理するときのコツ

1つの名義で作れる預金口座は、原則1銀行1口座となる。そのため、口座を複数持つ場合は、それぞれ別の銀行で口座を開設することになる。ではその際、どの銀行を選べばいいのか。

口座を複数持つと口座のチェックの手間が必然的に増えるので、なるべくアプリで簡単に取引履歴や口座残高を確認できたり、自宅や職場の近くに支店があったりする銀行の方が、管理はかなり楽になる。

また、1カ月に1回、3カ月に1回程度の頻度で、それぞれの口座の残高を確認し、家計簿アプリなどに入力しておくようにしたい。そうすれば、いまの自分の資産の総額がいくらか分かりやすくなる。エクセルなどの表計算ソフトでデータをまとめておくのもありだ。

複数口座の利用は老後不安の解消にもつながる!?

お金の出入りを見える化すると浪費が減り、手元に残るお金を増やすことができるだろう。残ったお金を投資に回してうまく増やしていけば、老後不安も解消されていく。

口座を複数持つことはメリットが多いので、すぐに検討してみてほしい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。