運転免許を更新する際に記入する「質問票」は、意識障害など運転に影響を及ぼす病気や発作などによる事故防止を図るために導入されました。今回は、事故防止が目的の「質問票」が本当に有効なのか考察します。

免許更新時に記入する「質問票」が義務になった経緯と内容

免許更新時に記入する「質問票」は実際のところ事故防止に効果的なのか?
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

運転免許更新時に記入が必要となった「質問票」は、意識障害を伴う発作を起こす病気などを有する運転者による交通事故が発生し、病気であることを申告せずに運転免許証の更新を繰り返していたことが明らかになったことをきっかけに導入されました。
質問内容は全部で5問。それぞれ、「はい」または「いいえ」で回答します。質問票の内容と注意点は、以下のとおりです。
1.過去5年以内において、病気(病気の治療に伴う症状を含みます。)を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある。
2.過去5年以内において、病気を原因として、身体の全部又は一部が、一時的に思い通りに動かせなくなったことがある。
3.過去5年以内において、十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中、活動している最中に眠り込んでしまった回数が週3回以上となったことがある。
4.過去1年以内において、次のいずれかの状態に該当したことがある。
4-1.飲酒を繰り返し、絶えず体にアルコールが入っている状態を3日以上続けたことが3回以上ある。
4-2.病気の治療のため、医師から飲酒をやめるよう助言を受けているにもかかわらず、飲酒したことが3回以上ある。
5.病気を理由として、医師から、運転免許の取得又は運転を控えるよう助言を受けている。
(注意事項)
※質問票には、必要事項を正しく記載してください。
※質問票の記載内容により、直ちに、運転免許の取消し等にはなりません。
※質問票の記載内容等を踏まえて、運転免許取消しとなった場合でも、病状が快復し、運転免許を再取得することができる状態になった際には、試験の一部が免除されます。(取消しとなった日から、3年以内に限ります。)
※質問票に虚偽の記載をする行為には、罰則が設けられています。
※記載内容に含まれる「個人情報」を、警察では厳格に保護します。
※「運転適性相談窓口」が、各都道府県警察に設置されています。病気等で、自動車等の運転に不安がある方は、ぜひ、御相談ください。
なお、「質問票」に虚偽記載をして提出した場合は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。

質問票には事故防止の効果があるのか

免許更新時に記入する「質問票」は実際のところ事故防止に効果的なのか?
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

運転免許を更新する際に記入する質問票は、運転者の状態を公安委員会が知るという意味では有効といえるでしょう。ただし、質問票は免許更新時点における運転者の状態を把握する書類にすぎません。

人の体調や身体は、いつ・どのように変わってしまうか誰にも予測できません。言い換えれば、運転免許を更新する時の体調に問題がなくても、更新手続き後から次回の更新までの間に、身体が変化したり体調を崩してしまったりする可能性があるということです。

よって、質問票は事故防止に効果的だと断言することはできません。

運転免許の更新サイクルは3〜5年です。そのため、免許更新後、3〜5年間は自分自身で運転できる状態かどうかを判断する必要があります。

運転者は、運転免許について「免許があるから運転ができる」と捉えるのではなく、「運転することができる状態および許可を得ている」と考えておく方がよいといえるでしょう。

つまり、免許の有効期限が残っていても、運転できる状態でなくなった時は運転を辞めるという選択をするのも運転者の責任ということです。

免許更新後に運転を続けられるかわからなくなったときの相談先

免許更新時に記入する「質問票」は実際のところ事故防止に効果的なのか?
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

質問票を記入して運転免許を更新した後、運転するかどうかの判断は、運転者自身がしなければなりません。

もし、少しでも体調が悪い時や運転できる状態ではない時は運転を控えましょう。また、運転を継続していいか悩んだときは、免許センターにある安全運転相談窓口に相談することをおすすめします。

安全運転相談は電話でも受け付けています。電話番号は、全国統一の専用相談ダイヤル「#8080」です。この安全運転相談ダイヤルに電話をすると、発信場所を管轄する都道府県警察の安全運転相談窓口につながります。

「質問票」の最後に「病気等で、自動車等の運転に不安がある方は、ぜひ、御相談ください」と明記されていることからも、運転に不安がある方、体調不良や怪我などにより運転を継続していいのか判断に悩んでいる方は、積極的に安全運転相談窓口を活用するとよいでしょう。

文・齊藤優太/提供元・CARSMEET WEB

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